日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「インフルエンザ」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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今年も残すところあと2カ月。記録的な猛暑が落ち着いたと思ったら、もうインフルエンザの流行が目の前に迫ってきましたね。昨シーズンは、1999年の統計開始以降、最大のインフルエンザの流行を記録。インフルエンザの感染を恐れ「予防接種を受けました」という方も多いのではないでしょうか。
2018年10月24日、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、およそ20年ぶりに新たな作用機序をもつインフルエンザ治療薬を承認した、と発表しました。商品名は「ゾフルーザ」(一般名はバロキサビルマルボキシル)。この新薬は、たった1回服用するだけでよく、なんと、従来のインフルエンザの治療薬よりも効果が高いと言われています。さらに、服用してから10日ほど効果を維持できることから、予防薬としての効果も期待されており、臨床試験も行う予定だそうです。予防薬として承認されれば、受験生には必須の予防薬となりますね。
さて、今回は、流行がすぐそこまで迫ってきているインフルエンザについてお話したいと思います。
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染しておこる感染症です。咽頭痛や鼻汁、咳といった上気道の炎症による症状の他に、38度以上の高熱や頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感などの全身の症状がみられます。稀にではありますが、小児では急性脳症を、高齢者や免疫力の低下している人は肺炎を合併するなど、重症化することもあります。
「そもそも風邪とは違うのですか?」という声も多く聞かれます。俗に言う風邪は「かぜ症候群」と呼ばれ、ライノウイルスやコロナウイルス、RSウイルスやアデノウイルスなどが主な原因ウイルスとなります。インフルエンザも同じウイルスが原因ではありますが、風邪の場合、インフルエンザほど高熱にはならず、咽頭痛や鼻汁、咳といった上気道の炎症による症状が中心で、重症化することはあまりありません。