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内戦中のシリアで3年4カ月にわたり武装勢力に拘束されたフリージャーナリストの安田純平さん(44)が2日午前、日本記者クラブ(東京都千代田区)で記者会見した。約90分間に及んだ会見の後半には記者からの質疑応答に応じた安田さん。いわゆる“自己責任”については、「当事者の私が述べることは言いづらいが」と前置きした上で、「紛争地のような場所に行く以上は自己責任であると考えている」「自分の身に起きたことは、はっきり言って自業自得だと考えている」などと述べた。質疑応答の全文は以下の通り。
【安田さんが残した手書きメッセージはあの漫画の名セリフだった】
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――ネット上でのバッシング、自己責任といった批判が殺到していることが各国でも報じられています。こうした日本社会の現状についてご自身ではどのように受け止めていますか。
私自身に批判があることは当然だと思っています。何があったかということについて、批判いただき検証することは当然のことだと思っています。そこに対して疑問はありません。ただ、事実に基づかない批判もあるように思いますので、あくまでも事実に基づいたものでやっていただきたいというお願いというのはあります。
自己責任についても当事者の私が述べることは言いづらいですが、紛争地のような場所に行く以上は自己責任であると考えています。紛争地において、「日本政府が何かしらの救出をする」ということは非常に厳しい環境にあります。なので、政府は退避勧告を出しています。そこに入る以上、相応の準備をし、自分で起きたことは自分で引き受ける準備、態勢だったり、心の準備をして入るものだと思っています。そこで自分の身に起きたことは、はっきり言って自業自得だと考えています。
そのことと、一般論になりますが、行政が何をするかは全く別だと思います。本人がどういう人であるかによって行政の対応が変わるとなると、民主主義国家として重大な問題であると考えています。今回の外務省の対応について、国として、行政としてやるべきこと、できることをやっていただいたと私は解釈しております。紛争地で人質となった日本人の救出は非常に難しい中で、可能な限りの努力を3年4カ月の間続けてくださりました。解放の理由やきっかけは分かりませんが、日本政府の原則として「邦人保護は必ず」「身代金を払うことは絶対にしない」という2つが大原則ということですが、その範囲の中でできることをずっと探っていたと解釈しています。