文部科学省が「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題」(2017年度速報値)を発表し、不登校の子どもは過去最多を更新した。自身も不登校経験者で、多くの当事者を取材してきた不登校新聞の編集長・石井志昂さんが考えるその理由とは。
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文科省の発表によると、昨年度の不登校の子どもの数は5年連続で増加し、16年ぶりに過去最多を更新しました。
不登校の子どもの数は14万4031人(前年度比1万348人増)。小学生の不登校は3万5032人(同4584人増)、中学校は10万8999人(同5764人増)。小学生の不登校は前年度比15%アップと近年でも上り幅が大きなほうとなっています。
もう少し踏み込んで言うと、少子化の中で不登校になる割合はどんどん高くなっているということです。
2001年度の全児童生徒数は1128万8831人でした。かたや2017年度は982万851人と、146万人以上減少し、もっとも少なくなっています。つまり、統計史上、子どもの数が過去最低となるなかで、不登校は過去最多を更新したのです。
なぜ不登校は増えているのか。増加の要因について文科省はこう話しています。
「複合的な要因が絡み合っているので、原因を特定することは難しい」。
私も同意見です。しかし、ここ数年の傾向のなかで、不登校増の新しい要因として考えられる背景を何点か提示したいと思います。
■認知度の高まりと不登校の増加
千葉県習志野市にあるフリースクール「ネモ」理事長の前北海さんは「若い世代の親は『死ぬぐらいなら休んで』という感覚の親も多い。学校もフリースクールとの連携を求めるようになってきた」と、近年の変化について感じていると言います
新しい要因のひとつ目は「不登校に対する認知度の高まり」ではないかと思っています。
北海道札幌市にあるフリースクール「札幌自由が丘学園」のスタッフである新藤理さんも「不登校に対する認識や関心の高まりは肌で感じている」と言います。