仏の星付きレストランも採用 日本の「シート状野菜」その味と可能性

AERA
 シート状にして野菜を手軽に食べる――。大ブレイク寸前の食の最前線を追った。

 新鮮野菜を海苔のようなシート状にした新スタイルの食品「ベジート」の開発に、長崎県の企業が成功した。開発販売元のアイル代表の早田圭介さんはこう説明する。

「海苔のように巻き寿司やおにぎりにできるほか、野菜をくるくる巻けば片手で食べられるサラダになります。2017年12月からはフランスとイタリアの星付きレストランに出荷しており、カットして飾り付けに使ったり、チーズやチョコレートを挟むなど意外な使い方がされているようです」

 開発のきっかけは19年前、早田さんが熊本県の海苔メーカーで野菜を使った海苔の製造現場を見学したことだった。

「廃棄される規格外の野菜を有効活用できることにビジネスの可能性を感じました」(早田さん)

 しかし、当時の野菜海苔はまるで紙を食べているようなゴワゴワした食感で、成功しなかった。この海苔メーカーは間もなく廃業したが、早田さんはこの商品だけは残したいと事業を受け継いだ。

 食感の問題を解決したのが、長崎女子短期大学との共同研究だった。酵素分解の技術と寒天を活用することで、パリッとした食感と口に入れるとやわらかくなる本物の海苔のような食べやすさを実現したのだ。

 現在、量産化できているのは人参と大根のシートだけだが、18年の春までにはトマト、かぼちゃ、パプリカ、バジル、梅干し、レモンの本格販売を予定している。

「どれもしっかり野菜の色と味を再現できています。梅干しは酸っぱくて塩辛いのですが、良いアクセントになるのか海外での評判が上々です」(同)

 近年は糖質を減らすダイエットや、グルテンフリーの食事法が流行中だが、ベジートは原材料が野菜と寒天だけというシンプルな商品なので、こうした食生活にも取り入れやすいという。

 製造過程で加熱するためビタミンCは減少するが、それ以外の栄養素と食物繊維はキープされるという。賞味期限は1年間、常温保存が可能なことから野菜の栄養を摂取できる保存食としても注目される。

 すでにイトーヨーカドーやコンビニがベジートを使った商品開発に乗り出しており、18年春に販売の見込みという。また、おもちゃメーカーがキャラ弁のキットとして売り出す計画も進んでいるとか。

 現在ベジートを使った料理は、東京のテイクアウトカフェ「PIT IN CLUB 六本木ヒルズ」で、野菜やエビなどを巻いた「ベジロール」として提供されている。

「ヘルシー素材としてファストフードチェーンにも売り込んでいきたい」と早田さんは意気込む。(ライター・森田悦子)

※AERA 2018年1月1-8日合併号より抜粋
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