そして、④「高校無償化」です。東京都や大阪府では、私学も含めて授業料の無償化が進んでいます。「コストがあまり変わらないのなら、やはり私学」ということも公立中高一貫校離れにつながっているのです。

私学人気の最大の要因は「柔軟性」

 さて、前述してきた公立中高一貫校の不人気の要因は裏を返せば、私学の人気の要因でもあります。なかでも私学が人気となっている最大の要因はやはり「柔軟性」。特に2020年以降のコロナ禍で、私学はICTの積極導入など柔軟な対応で人気を高めました。そしてコロナが収束し、再び世界全体が活発に動き始めた現在、私学は建学の理念は守りつつ、世界と社会の変化に合わせて柔軟に変化しているのです。

(文/井上修)

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井上修
進学レーダー前編集長/日能研入試情報室室長 井上修

いのうえ・おさむ/1967年生まれ。91年横浜国立大学教育学部心理学専攻卒業。同年日能研入社。以来継続して入試・学校・教育情報を専門とする。中学受験雑誌「進学レーダー」編集長を経て2024年より現職。著書、雑誌への寄稿多数。

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