まずは①「学校を知るチャンスの少なさ」です。近年、私学は学校を理解できるような豊富な機会を設けています。説明会が複数あるのはもちろん、コロナ以降は文化祭やオープンキャンパスなど、直接学校を訪問して教育に触れられる機会を増やしています。さらに、近年はSNSの活用も進んでおり、LINEなどで、説明会などの誘導や、ホームページの更新情報などを直接保護者や受験生に届けるように努力しています。学校によっては「LINEは、どの日時に出せば訴求効果が高いか」なども考えて発信しています。

 それに対して、公立中高一貫校は、そもそも説明会の回数が少なく、学校を知るチャンスは私学と比較すると、とても限られています。

 次に②「教育の硬直性」です。都県によって若干の温度差がありますが、公立中高一貫校は、概して教育委員会から、高い大学合格実績を出すようにとの要請が出ているようです。そのため、結果として公立中高一貫校の教育自体が「到達型学力」(大学合格に到達することを主眼におく学力観)を重視する傾向が強まってしまいます。

 確かに大学合格実績は私学でも重視されますが、近年は合格実績が高くても、教育自体が到達型だったり、それを達成するために多くの課題が課せられたり、授業の速度を重視するような学校は敬遠されがちです。実際、首都圏の公立中高一貫校でも、「大学実績は高いのに人気は下がってしまった」と不思議がる関係者もいました。実は私学でも、大学実績が高まれば、それが人気につながるという時代でもなくなってきています。人気となるには、大学進学指導だけではない教育の充実、そしてクラブ活動や学校生活の楽しさなどがバランスよく調和した「バランス型」学校が人気となっているのです。

 ③「施設の古さと柔軟性」に関しては、実は校舎の新旧がポイントではありません。近年私学では、生徒の主体的な学びを支援、促進する空間としての「ラーニングコモンズ」の設置が増えています。公立中高一貫校では、時代の変化にあわせて施設を変化させていく柔軟性が残念ながら乏しいのです。

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