首都圏に300校以上ある中高一貫校。わが子に合った志望校を選ぶためには、教育方針や校風、進路実績など、それぞれの学校の特徴をよく把握することが大切です。偏差値だけではわからない学校の強みを知るために、首都圏の中高一貫校をさまざまな視点から評価したランキングを見てみましょう。本稿では、ICT教育に力を入れている学校のランキングを紹介します。

MENU コロナ禍をきっかけに急速に進化したICT教育 授業や学習時間の管理など、さまざまな場面でICTツールを活用 ICT機器を駆使して、日本語や英語でプレゼンテーション マイクロソフト本社が認定する教育ICT先進校も

コロナ禍をきっかけに急速に進化したICT教育

 ここ数年、首都圏の中学受験率は過去最高水準で推移していますが、近年の中学受験人気の要因の一つに、コロナ禍での私立中の対応の早さがあると言われています。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年2月下旬に全国一斉休校が要請されると、多くの私立中学がオンラインでのリモート授業を開始しました。それを可能にしたのが、パソコンやタブレット端末、校内Wi-Fiといった、いわゆるICT機器の整備や活用です。

「コロナ禍前から、多くの学校でコンピュータ教室は整備されていましたが、電子黒板や校内WI-Fi、1人1台タブレットなどのICT機器の導入は、一部の学校に限られていました。それがコロナ禍で状況が大きく変わり、私学ではICT環境の整備が一気に進みました。特にICT活用の教員研修をスムーズに行えた学校では動きが早かったようです」(大学通信情報編集部の大野香代子さん)

 ICT機器の整備が進んだことで、現在では多くの学校が探究学習やプレゼンテーションなど、さまざまな学習活動の中でICTを活用しています。通常の教科授業のなかでパソコンやタブレット、電子黒板などを使うことも珍しくなく、家庭との連絡にもオンラインツールが使われるようになりました。

「2030年度以降に順次実施予定の次期学習指導要領から、中学校の情報教育として新しく『新・技術分野』という教科が創設され、AI(人工知能)やセキュリティー対策などについて学習するようです。ICTの知識やリテラシーは現代社会において間違いなく必要なスキルですから、その力を身につけさせるのは学校の重要な役割です」(大野さん)

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白井裕子
白井裕子

編集者兼ライター しらい・ゆうこ/朝日新聞出版勤務を経てフリーに。朝日新聞出版在籍時はおもに教育関連の雑誌やムックの編集を手掛け、担当した媒体に「AERA with Kids」「ジュニアエラ」「カンペキ中学受験」「偏差値だけに頼らない中高一貫校選び」「英語に強くなる小学校選び」「医学部に入る」(いずれも朝日新聞出版)などがある。

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