GIGAスクール構想で学校に1人1台端末が配布されるようになり、各自治体や学校が試行錯誤を繰り返しながらさまざまな授業内容の改善に取り組んできました。なかでも「児童が自発的に学びとる、クリエイティブな学習者」を育てようと、ユニークな授業を展開している小学校があります。7月15日に行われた、東京都世田谷区立駒繋小学校(世田谷区下馬)の公開授業の様子をリポートします。
【写真】音楽制作ソフトを使ってメロディーをつくる6年生の授業の様子iPadをいかに使いこなすかを研究
創立85周年を迎えた駒繋小学校は、都内で唯一Apple Distinguished School(2023~2026 ※)に認定されている小学校。世田谷区ではiPadを活用した授業が展開されていますが、駒繋小学校で端末が配布されたのは2021年2月のこと。当初、教員のデジタルスキルをあげるために「GIGA部」を発足、技術を磨きながら「(教師が)教える」から「(児童が)学び取る」形へと授業内容を変化させてきたといいます。現在は「iPadは学びの相棒」として児童の主体的な学びと、仲間同士が支え合う「協働」を大事にしながら活動を発展させています。
※Apple Distinguished Schoolとは…学習、指導、学校環境の継続的なイノベーションを推進する学校として、Apple社に認定された学校のこと。

この日公開されたのは国語の授業(3年生)と音楽の授業(6年生)。3年生の国語では、単元「まいごのかぎ」で登場人物の気持ちを読み取り、「せりふ」を動画で撮影するもの。iPadの画面には個性豊かな背景が映し出され、誰もがKeynote(プレゼンテーションソフト)を上手に使いこなします。教師はグループごとにうまく撮影ができるようサポートに徹し、授業の主役は児童。各々が自分の表現で録画を進めていきます。
「恥ずかしがりながらも『見て!』と言ってくる児童が多いですね。なかには読み取りが苦手な児童、思いを表現することが苦手な児童もいるので、お互いにサポートしながらグループで取り組んでいます」
こう話すのは授業を担当した井上光子先生です。教師が前に立って全員で読み解く昔ながらの授業スタイルではなく、体を動かしながらセリフを表現することで言葉を全身の感覚でとらえる姿が印象的でした。
