コロナ禍の今年5月1日、東北地方を中心に最大震度5強の地震が発生。鉄道など交通機関に影響が出て、踏切が開かなくなったところも(c)朝日新聞社
コロナ禍の今年5月1日、東北地方を中心に最大震度5強の地震が発生。鉄道など交通機関に影響が出て、踏切が開かなくなったところも(c)朝日新聞社

 一方、太平洋側で強い揺れの発生確率が高い傾向にあるのに対し、日本海側は総じて低い。

 例えば山形市4.2%、青森市5%、秋田市10%。もっとも高い新潟市でも15%だ。理由を古村教授はこう語る。

「日本海側ではユーラシアプレートと北米プレートが衝突していますが、日本海溝や南海トラフのように速い速度のプレートの沈み込みが起きていないので、地震の頻度も少なくなっています」

 ただ、こちらも福島や仙台のように確率が低くても安心できない。過去に大きな地震は発生している。例えば、1993年に北海道南西部の奥尻島沖を震源とした「北海道南西沖地震」(M7.8)、2007年には「新潟県中越沖地震」(M6.8)、19年には「山形県沖地震」(M6.7)といった地震が起き、震度6弱以上の揺れに襲われた。

「ゼロ%」は一つもない

「自分が住む地域の地震が起きる確率が相対的に低いから、安全と考えるのは間違いです。日本は、地震の危険度が高いのはどこも同じ。地震から安全な場所はありません。地震は突然起きるので、いつ起きても大丈夫なように、家の耐震化と出火予防、そして身の回りの安全対策が大事です」(古村教授)

AERA6月7日号から
AERA6月7日号から

 全国地震動予測地図2020年版の作製にかかわった地震調査委員会の平田直(なおし)委員長(東京大学名誉教授)も、強調する。

「評価してわかったことは、震度6弱以上の揺れに襲われる確率がゼロ%の場所は一つもないということ。つまり日本中、どこでも強い揺れになる可能性があります」

 さらに確率が低く見えても、他の災害リスクと比較すると決して低いとはいえないと警鐘を鳴らす。例えば30年以内に交通事故で負傷する確率は12%、30年以内に火災に遭う確率は0.94%。これらに比べ、30年以内に震度6弱以上の揺れに襲われる確率が20%というのは極めて高く、10%といっても決して小さくない。確率を「低い」と考えるのではなく、備えを進めるきっかけとして受け止める必要があるという。来たるべき地震に対しどうすればいいか。

次のページ
自助・共助・公助の3要素