「全国地震動予測地図2020年版」を基に、「今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率」を示した。また、気象庁の「震度データベース検索」を使い、16年1月から今年5月17日までの約5年半で、全国の県庁所在地で起きた震度1以上の地震の回数を集計した(AERA6月7日号から)
「全国地震動予測地図2020年版」を基に、「今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率」を示した。また、気象庁の「震度データベース検索」を使い、16年1月から今年5月17日までの約5年半で、全国の県庁所在地で起きた震度1以上の地震の回数を集計した(AERA6月7日号から)

 平田委員長は、まずは耐震化されていない住宅の耐震補強を行った上で、「自助・共助・公助」の3要素が重要と語る。震度6弱の揺れで、耐震性の低い木造住宅は倒壊する恐れがある。だが、「震度6強~7の地震でも倒壊・崩壊しない」という建築基準法の「新耐震基準」を満たした住宅の耐震化率は約87%にとどまる。

「耐震化をしていれば、地震が起きても自宅に避難して大丈夫。ただ停電や断水に備え、懐中電灯やラジオ、飲料水などを備蓄することが大切。自分の命は自分で守る『自助』です」

 避難所に避難した場合は、お互い助け合う必要がある。そこでは「自助」と「共助」が求められる。日ごろからの近所付き合いが大切になる。

国や自治体の公助活用

 自助、共助で対応できないところは行政機関が実施する「公助」の出番。自然災害のハザード(災害誘因)の住民への周知や、被害が出た後の震災復興計画の策定などが重要になる。

最大震度7を記録した2016年4月の熊本地震から5年。熊本県益城町では今年4月、復興を願うメッセージが書かれた灯籠が置かれた(c)朝日新聞社
最大震度7を記録した2016年4月の熊本地震から5年。熊本県益城町では今年4月、復興を願うメッセージが書かれた灯籠が置かれた(c)朝日新聞社

 全国地震動予測地図2020年版はネットでも公開され、「地震ハザードステーション(J‐SHIS)」では地図から場所を検索して地震発生の確率と、場所ごとの地盤の軟らかさを考慮した一定の強さ(例えば、震度6弱)以上の揺れになる確率を調べられる。

「自宅や学校、職場などの場所を調べ、家具の固定などの対策を進めてほしい。確率が低くても安心するのでなく、一人ひとりが自分にできることから実行してほしい」(平田委員長)

 大地震に見舞われる可能性がない地域はない──。「地震列島」に住む私たちは、改めて、肝に銘じなければいけない。(編集部・野村昌二)

※AERA 2021年6月7日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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