「G麺7」の後藤将友店主。妻の一言が独立のきっかけになった(筆者撮影)
「G麺7」の後藤将友店主。妻の一言が独立のきっかけになった(筆者撮影)

「近藤さんの仕事はすごいの一言でした。それまで、はっきり言ってラーメンをナメていたのですが、これほどまでに奥深いのかと感動しました。開店に向けてよりやる気が湧いてきましたね」(後藤さん)

 2年の準備期間を経て、02年、横浜の鶴屋町に「麺場 浜虎」をオープンさせた。風俗街のど真ん中ということもあり、初めは集客に苦労したが、動物系と魚介系をブレンドしたスープに太めのちぢれ麺を合わせ、鶏を蒸したチャーシューを乗せたラーメンが評判を呼んだ。街の開発も相まって客数は増え、開店から7年で目標だった月商1000万円を達成。順風満帆だった。

「浜虎」の支店展開を視野に入れて物件探しをしていたある日、後藤さんは妻の実家・上大岡に一軒の空き物件を見つける。宅配メインの蕎麦屋の居抜き物件だったが、小さなラーメン屋ならできそうな広さだった。「浜虎」の支店にするにしては狭いと迷ったが、妻から思いもよらない一言が飛び出す。

「ここをあなたの店にしたらどう?」

 独立を考えたことはなかった後藤さんだが、その一言で自分の店を持つということを考え始める。ちょうどその頃、町田の「ラァメン家 69’N’ROLL ONE」(現在は尼崎に移転し、「らぁめん矢 ロックンビリースーパーワン」として営業)で、店主がワンオペでラーメンを作る姿に感動し、心の底に憧れる気持ちもあったという。

こだわり抜いた小麦粉で自家製麺を作っている(筆者撮影)
こだわり抜いた小麦粉で自家製麺を作っている(筆者撮影)

 こうして09年1月、「G麺7」はオープンした。「後藤」の「G」、「自家製麺」の「麺」、妻の名前「奈々絵」から「7」をもらい、「G麺7」と名付けた。

 試作は08年秋ごろから始めた。スープには魚介を使わず、豚・鶏のスープと醤油の旨味で引っ張り、そこに数種の小麦を使った自家製麺を合わせた。麺の断面が丸くなる「丸刃」で切った「G麺7」の自家製麺の食感はツルツルモチモチしていて、スープの中で麺の美味しさが引き立っている。麺をあえて立たせるその作りは「櫻井中華そば店」にも通ずる。

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ラーメンシーンを支える名店に