全米図書館協会会長を務めるレサ・カナニオプア・ペラヨロザダ氏に取材するとこう語った。

「この本を母親と一緒に読んでいたある少女が、文中の少年が性加害の被害に遭う描写を見て『実は私も同じようなことをされた』と母親にその場で打ち明け、親は彼女の被害を把握し対処することができた。もしこの本を読んでいなければ、少女は自分の性被害を誰にも打ち明けずに黙っていた可能性が高い。口にするのが難しい話題に触れる機会を、子と親の両方に提供してくれる貴重な作品だ」

(在米ジャーナリスト・長野美穂)

AERA 2023年6月12日号より抜粋

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長野美穂

長野美穂

ロサンゼルスの米インベスターズ・ビジネス・デイリー紙で記者として約5年間勤務し、自動車、バイオテクノロジー、製薬業界などを担当した後に独立。ミシガン州の地元新聞社で勤務の際には、中絶問題の記事でミシガン・プレス協会のフィーチャー記事賞を受賞。

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