■150%まで出す

――プロとしてステージに立つ心構えを叩きこまれたのは舞台「滝沢歌舞伎」だ。2019年からは滝沢秀明さんからSnow Manが座長を引き継ぎ、先月、その歴史に幕を下ろした。

佐久間:お客さまのことを一番に意識できるようになったのも、滝沢歌舞伎からでした。チケットを買って見に来てくださるということの重さ、そして、それに見合うクオリティーのパフォーマンスを行うことの大切さを、徹底的に滝沢くんに教えていただきました。100%じゃダメで、120%、150%まで出さないと、人の感情は動かない。感情を動かしてこそ、「感動」は起きる。その精神を僕らも引き継いできたつもりです。

 僕らがSnow Manという名前をもらったのもあのステージ上だったし、滝沢歌舞伎はメンバー全員が育った場所でもあります。思い入れのある舞台が幕を閉じたのは寂しいですが、逆に、自分たちがやり切って幕を下ろすという形になったことを「うれしく思おう」と思っています。また、次のステージに上がるために感謝を込めて。

――アルバムは2枚連続ミリオンヒット。テレビ番組にも多く登場し、Snow Manは国民的アイドルに成長したように見える。

佐久間:いまだにメンバーと振り返るんですけど、ファンの皆さんがここまでさまざまな記録を作ってくれる未来は、メンバーの誰にも見えていなかったと思います。僕らのいまを変えてくれたのはファンの皆さんです。だから、皆さんがすごいんです。本当にそう思っているし、地べたを這うように苦しんできた時代もあったので、マジで調子には乗れないんです(笑)。僕、一生、天狗にはなれないと思います。

 目標はいつも変わりません。僕らを知っている人はまだまだ限られていると思います。グループ名だけでなく、メンバー一人一人の名前と顔を、日本中の誰もが知っているような、本当の国民的アイドルグループを目指しています。

(ライター・大道絵里子)

AERA 2023年5月22日号