※写真はイメージ(馬場岳人撮影)
※写真はイメージ(馬場岳人撮影)

 中学受験者数は右肩上がりで、受験率も約18%まで上昇。東京都内はその割合がさらに高まる。子どもが学ぶ楽しさを知り、主体的に学ぶためには親は何を心がけたらいいのだろうか。識者に聞いた。AERA 2023年4月24日号の記事を紹介する。

【子どもが自ら学ぶために親が心がけたい六つのポイントはこちら】

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 小学3年生の息子に対して、「なぜ、私はできたのにこの子はできないんだろう」「こんなこともできなくて大丈夫かしら」と毎日のように思うと語るのは、都内に住む公務員の女性(38)だ。

「息子は小学校の先生から、忘れ物の多さや落ち着きのなさを指摘されています。テストも本当はできるはずなのにうっかりミスばかりで……」

■親の時代と比較しない

 ママプロジェクトJapan代表の岩田かおりさんは、比較に慣れすぎてしまっているという課題もあると指摘する。

「仕事では比較検討することを日々当たり前のように行います。仕事ができる方だからこそ、それを子育てでも行ってしまう。でも、自分自身と我が子も、ほかの子と我が子も、全く別ものです。唯一比較してよいのは、我が子の以前と今の状態だけです。その比較からは、『こんなことができるようになった』という変化を見つけられるはずです」

AERA 2023年4月24日号より
AERA 2023年4月24日号より

 難関校を目指す小・中学生のための学習塾「サピックス」で30年以上にわたり講師を務める広野雅明さんも中学入試の指導をする中で、自分と比較する保護者によく遭遇するという。

「保護者の方は自身の高校受験や大学受験の記憶と比較して子どもに向き合っていることが多いんです。そもそも(小学生と中・高校生は)発達段階が異なりますから、比較するのは酷というものです」

 自身の中学入試の記憶をベースに、子どもと向き合うことにも警鐘を鳴らす。

「保護者が中学受験を経験した時代とは、問題の傾向や勉強の仕方も大きく変わってきているので、昔の実践をそのまま生かせるものではありません。まっさらな気持ちで子どもの勉強のサポーターになってあげることが大事だと思います」(広野さん)

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