埼玉県鴻巣市の公立小学校のPTAで次期会長就任を検討中の町屋宏之さんも、2年後の後任探しに今から不安を感じている。同PTAでは会長が自分で後任を見つけるのが習わしだが、町屋さんはまだ地元に親しい知り合いがおらず、頼める人が思い当たらない。もし見つかっても、その人も後任探しの懸念から会長を引き受けてくれない可能性がある。

 そこで町屋さんは、自身が会長になったら解散のルールを会則に盛り込みたいと考えている。どうしても後任が決まらないときは解散もできるとわかっていれば、頼まれた人が引き受けやすくなると考えられるからだ。あえて解散をしたいわけではないが、「逃げ道」を確保することで候補者の心理的負担を減らすのが狙いだ。

 PTA改革を進める役員は時間や労力を犠牲にするが、後任が見つからなければやめることができない。会員が楽になっても役員が苦しいままでは報われないだろう。後任を見つけやすくするため、役員自身の負担を減らすことや、見つからない場合を想定してPTAを解散する選択肢を確保しておくことも必要かもしれない。(ライター・大塚玲子)

AERA 2023年2月27日号より抜粋