星野源(ほしの・げん)/1981年、埼玉県生まれ。音楽家・俳優・文筆家。「恋」「創造」「不思議」など多数のヒット曲がある。ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」など俳優としても活躍(撮影/蜷川実花、hair & make up 宮本佳和、styling TEPPEI、costume stein、critical:lab、h'eres)
星野源(ほしの・げん)/1981年、埼玉県生まれ。音楽家・俳優・文筆家。「恋」「創造」「不思議」など多数のヒット曲がある。ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」など俳優としても活躍(撮影/蜷川実花、hair & make up 宮本佳和、styling TEPPEI、costume stein、critical:lab、h'eres)

 ミュージックビデオ集「MUSIC VIDEO TOUR 2 2017-2022」を2月15日にリリースする星野源さん。時代の変化に直面しつつ、アイデアを練って作ってきた作品から、今見えてくるものは──。AERA 2023年2月20日号から。

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──本誌では約1年半ぶりのインタビューになります。まず2022年はどんな1年でしたか?

星野源(以下、星野):仕事の面で言えば、22年はとても楽しくて、充実した1年だったと思います。「喜劇」をリリースして、さまざまな国のチャートで1位になったり、「異世界混合大舞踏会(feat.おばけ)」が、例えばTikTokを始め、今までと全然違う場所に響いたりと、それは意図してやった部分なので、目標をクリアできたという実感があります。

 お芝居ではドラマ「17才の帝国」があって、それも今までやっていないような役でしたし、「オールナイトニッポン」の55周年記念ジングルを制作するとか、「おげんさんといっしょ」に加えて「おげんさんのサブスク堂」や「星野源のおんがくこうろん」という新しい音楽番組を、自分で企画書を書いて始めるとか、新しい試みがあって忙しかったですね。リリース自体は2曲だけですけど、充実した1年でした。

 一方で、仕事以外のことでは落ち込む1年でもあって。

──そうだったんですか?

星野:22年になった途端に世の中がさらに物騒になって、悲しいことが山ほど起きたし、インターネットやニュースの情報に振り回されて、かなり参ってしまったというか。がんばって耐えてたんですけど、7月の終わりに新型コロナウイルスに感染して、しんどい10日間を過ごして、心が折れたんです。秋にかけて2、3カ月深く落ち込んでました。

 でも試行錯誤していたら、11月ごろにはかなり元気になって、結局はもともとより元気な状態で23年に突入できたので、雨降って地が固まった年だと思います。おかげでいろんなことが整理できて、これからの自分の生き方みたいなものを固めることができたので、全体としてはすごくいい1年でしたね。

■やりたい音楽を素直に

──最終的にそこにたどり着けて本当によかったですけど、昨年はロシアのウクライナ侵攻に始まり、多くの人にとって心が折れてしまいそうになることの多い1年でしたよね。

星野:そうなんですよ。落ち込みすぎてヤバいなっていう瞬間が何度かありました。やっぱり時代が大きく変わる瞬間だったのかなっていう感じがしますね。今までの自分のルールでは生きていけないことに気付かされて、この先どう生きていきたいんだ、そのままじゃ生きていけないぞ、っていうことを強く突き付けられた1年だった気がします。だからちゃんと考えて、変えていったんです。

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