AERA 2023年1月23日号より
AERA 2023年1月23日号より

「大リーグは6年越しの夢なので、懸ける思いは強いと思います。世界屈指の好投手であるバーランダー、シャーザーと共にプレーすることで学ぶことも多いでしょう。能力は申し分ない。不安要素は故障が多いことですかね。1年間を通じて先発ローテーションを守ったシーズンが数えるほどで、シーズン最多が13勝と意外に少ない。故障で戦線離脱が多いと、首脳陣も戦力として計算できない。コンディションを整えて投げ続けられるかがポイントになる」

 パドレスのダルビッシュ有(36)、元ヤンキースで現在は楽天田中将大(34)、元ヤンキースで引退した黒田博樹(47)と、大リーグで成功した日本人選手の共通点は心身がタフであることだ。故障は不可抗力の部分があるが、一流と呼ばれる選手は故障を乗り越える。ダルビッシュは15年に右ひじ内側側副靱帯(じんたい)の損傷が判明し、靱帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を受けたがその後に見事復活。昨年は30試合の先発登板で194回3分の2を投げ、16勝8敗、防御率3.10をマークした。

■米国のメディアが爆笑

 千賀もコンディションには細心の注意を払っているだろう。大リーグとNPBではマウンドの硬さ、傾斜が違う上、ボールの滑りやすさも変わる。この違いにアジャストできず、本来の力を発揮できなかった日本人投手は少なくない。異国では適応能力の高さが成功のカギを握る。

 社交的な性格でチームに溶け込むのは早いだろう。昨年12月に行われたメッツの入団会見でバック・ショーウォルター監督の印象を聞かれ、「最初は少しちょっと顔が怖いかなと思った」と冗談交じりに答えると、米国メディアは爆笑した。メッツの本拠地「シティ・フィールド」のマウンドでも、ファンの心をつかむ活躍を期待したい。(ライター・今川秀悟)

AERA 2023年1月23日号より抜粋