清水一行さん(右)と清水浩代さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
清水一行さん(右)と清水浩代さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

妻 清水浩代[65]壽屋 取締役副社長

しみず・ひろよ◆1957年、東京都生まれ。日米会話学院卒業後、音楽雑誌の編集アシスタントを経て79年に夫の家業である壽屋に入社。主に販路開拓や海外営業を担い、96年に専務取締役に就任、2013年から現職

 結婚当時、夫の家業の節句人形店は立川駅前の第一デパートに店を構えていたので、繁盛店だとばかり思っていました。でも内情は火の車。義父は需要が先細る店を継がせたくなかったのでしょう、廃業の話ばかりしていました。

 でも私は猛反対。当時はまさかプラモデルやフィギュアのメーカーになるなんて予想もしなかったけれど、夫と一緒になんとかこの店を盛り返したいと強く思ったんです。

 若いころはよくケンカをしました。出ていきたくてもお金も車もなくて、アパートの外階段の下で泣いていました。今は自由にどこへでも行けるし、ライフワークであるブリーダーの仕事で海外にも飛んでいくけれど、やっぱり同じ家に帰ってきて、同じ会社に出かけていきます。

 私たちは趣味も合わないし、お互い気ままな生活で、一緒に過ごす時間も長くありません。それでも、夫婦として経営者として、喜びも苦しみも分かち合ってきたからこその絶対的な信頼がある。それが私たちの幸せの形なんです。

(構成・森田悦子)

AERA 2023年1月16日号