教員未配置は子どもたちの学習環境を悪化させる。国が推し進める少人数学級の流れに逆行し、2クラス合同授業なども行われている(photo 写真映像部・東川哲也)
教員未配置は子どもたちの学習環境を悪化させる。国が推し進める少人数学級の流れに逆行し、2クラス合同授業なども行われている(photo 写真映像部・東川哲也)
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 教員不足が深刻化している。現場の負担は増し、病休者らが増える悪循環。学級担任が配置されないケースや授業ができない事態も起きている。2022年11月28日号の記事を紹介する。

【図表】文科省が行った「教師不足の実態調査」結果はこちら

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 今年4月。首都圏に住む女性(44)が、始業式を終えて帰宅した小4の娘に「今度の担任の先生はどんな先生?」となにげなく聞いたところ、驚くような答えが返ってきた。

「担任の先生はいなくて、2人の先生がみてくれるって」

 ……4月に担任がいない?

 学校からの手紙には、教員が足りず、配置されるまでは教務主任と音楽専科の教員が交代でクラスをみる、といった説明があった。2学年上の娘のときも、3学期に担任が産休に入り、残りは教頭が担任をしたことがあったが、年度初めに教員が配置できないとは……。女性は言う。

「教務主任の仕事はそもそも激務なのに担任も持つのは大丈夫なのかなと思ったし、音楽だけを教えてきた先生が、算数や国語を教えるのってどうなの?と少し不安も感じました」

 その後も担任は配置されず、2人体制は続いている。個人面談では2人ともそろい、話から、一緒にいる時間が限られても娘をきちんとみてくれていると感じられたし、複数担任制のようでメリットも感じてはいる。

「ただ、教務主任の先生は他学年の校外学習や林間学校にも付き添い、本当に忙しそう。さらに2学期には他学年で産休に入った先生がいて、教頭先生も担任をすることに。学校全体がギリギリの状態で、いつ破綻してもおかしくない感じです」(女性)

■年度末になるほど深刻

 教員を確保できずに、「未配置」となるケースが全国の公立学校で相次いでいる。文部科学省も2021年度に初めて「『教師不足』に関する実態調査」を行った。21年度始業日時点の「教師不足」人数は2558人、5月1日時点では2065人だった。

 5月1日時点の小学校教員の不足人数、不足学校数とも最多だったのが千葉県だ。16年8月から県内公立学校の未配置教員数を集計する全教千葉教職員組合書記長の中川晃さんはこう説明する。

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