フリーは冒頭の4回転ループで転倒したが、その後は踏ん張った。
4回転トーループを含む2連続ジャンプ、4回転サルコー、さらに後半の4回転トーループと大舞台でも物おじしない。「美女と野獣」のメロディーに乗って、野獣から王子に戻る世界観をしっかりと演じた。
銀メダルだった三浦は、
「スケート界を絶望させに来ている」
とマリニンの登場を独特の言い回しで表現した上で、こう語った。
「それぐらい素晴らしい選手が同世代にいることを誇りに思う」
最近の男子は北京五輪金メダルのネーサン・チェン(米国)、五輪2連覇の羽生結弦、昨季世界選手権優勝の宇野昌磨(24)、北京五輪銀メダルの鍵山優真(19)らが世界のトップを争ってきた。今季はチェンが休養し、羽生はプロに転向。そんな中で、マリニンと三浦という17歳が男子の「戦国時代」に名乗りを上げた。(朝日新聞スポーツ部・坂上武司)
※AERA 2022年11月7日号より抜粋