食品宅配のオイシックス・ラ・大地でも削減効果を見える化した農産物をオンライン販売する予定だ。同社グリーンプロジェクトリーダーの東海林園子さんが説明する。

TARO TOKYO ONIGIRI/今年5月に東京・虎ノ門にオープンしたテイクアウト専門店。JAみやぎ登米の環境保全米を使用したおにぎりを販売する(写真:TARO TOKYO ONIGIRI提供)
TARO TOKYO ONIGIRI/今年5月に東京・虎ノ門にオープンしたテイクアウト専門店。JAみやぎ登米の環境保全米を使用したおにぎりを販売する(写真:TARO TOKYO ONIGIRI提供)

「我々のような流通小売りにとっても、自社の排出量を削減する責務があります。これからはサプライチェーン全体で排出量の低い食材を選択する時代になっていくと考えています」

 扱うのは米の里(山形)のコメ、宮本農園(本)と小樽の塚本さん(北海道)のトマト、信州バイオファーム(長野)と三扇商事(福島)のキュウリ。算定データの最終確認中(9月8日現在)だが、いずれも星の表示が見込まれているという。

■持続可能なものへ転換

 顧客側の意識も変わりつつあると見ている。アンケート調査では、環境への取り組みについて「もっと積極的に取り組みたい」が45.3%と、現状に満足していない割合が高かったという。購入の選択肢としてもらうには「お客様の食卓にどの程度入っていけるかが鍵」と東海林さん。まだ対象品目が3品目のみとラベリングできる食材が少ないが、どの季節も20品目程度ラベリングできるようになれば、と期待している。

「何をしたらよいかわからない、どこまでやれば意味があるのかわかりにくいというお客様の声を耳にすることがあります。グリーン消費は、今回のような温室効果ガス削減の食材、アップサイクル品や規格外の品などフードロス削減につながる食材、プラスチック削減の食材など様々な選択肢があります。頑張ってやろうと思わずに、選択することを楽しんでみてほしいです」

 実証事業全体を統括する農水省のみどりの食料システム戦略グループ長の久保牧衣子さんが話す。

「農業は多くが1年1作しかできないので、急転換はできません。徐々に持続可能なものにしていかなければいけない。それは生産者だけで達成できることではありません。流通加工で価値をつなげていって、持続性重視の消費を盛り上げていく。サステナウィークをきっかけに環境への影響を考える消費者を増やせたらと思います」

 作る人、売る人の努力。受け取って未来へつなぐことができるかは、私たち「食べる人」の選択にかかっている。(編集部・高橋有紀)

AERA 2022年9月19日号