「サステナブルな消費」を促すため、9月17日から始まる「サステナウィーク」。 効率性重視から持続性重視へ。消費の基準をシフトする取り組みが始まっている。AERA 2022年9月19日号の記事を紹介する。

【写真】環境に配慮して作られたトマト

JAみやぎ登米/「赤とんぼが乱舞する産地を目指そう!」を合言葉に環境保全米の栽培を進め、今年で20周年になる(写真:JAみやぎ登米提供)
JAみやぎ登米/「赤とんぼが乱舞する産地を目指そう!」を合言葉に環境保全米の栽培を進め、今年で20周年になる(写真:JAみやぎ登米提供)

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 食材や商品に光り輝く「三ツ星」のラベル。おいしさのことではない。環境への優しさを示すものだ。「せっかくならこのラベルがついたものを買ってみようかしら」と手に取る人が増える。そんな光景を描いて、ある取り組みが始まっている。

 温室効果ガス削減効果を「見える化」した農産物の販売は、今年のサステナウィークの目玉の一つ。温室効果ガスの削減度合いを、星1~3で表示したロゴを、店頭に表示する試みで、以前からみどりの食料システム戦略の下で農林水産省が取り組んできた「見える化」の実証がようやく消費者に目に見える形となった。

 サステナウィークは農水省が消費者庁、環境省と連携して実施する取り組みの一環で、9月17日から27日までのウィーク期間中、プロジェクトメンバーが「サステナブルな消費」を促す目的で様々な催しを行う。

 実証に参加する事業者の一つが、JAみやぎ登米。宮城県登米市は北上川が流れる肥沃な穀倉地帯で、国内有数の特別栽培米の産地でもある。同JAでは2003年から、農薬や化学肥料を減らした「環境保全米」の栽培に取り組んできた。宮城県の慣行栽培と比較して、化学肥料の量を半分に、農薬化学成分を17成分から8成分まで減らしている。

 JAみやぎ登米の営農部部長・伍十川真治さんが説明する。

「現在はJAみやぎ登米の出荷数量の約8割が『環境保全米』として出荷され、栽培面積は約6200ヘクタールになります。組合員が共通の目標に取り組むことが、産地力の向上につながると考え取り組んできました」

 では一体どんな方法で温室効果ガスを削減できるのか。

 稲作の過程では、田植え後に一時的に田んぼから水を抜く「中干し」という作業が行われる。イネの根を強くする目的で行われるものだが、温室効果ガスの一種であるメタンの発生を抑える効果がある。土壌により多くの酸素を供給することで、メタン生成菌の活動を抑制できる。

■生産者の努力を反映

 日本の農林水産分野の温室効果ガス排出におけるCO2の割合は37%で、もっとも多いのは44%を占めるメタンだ。メタンの温室効果はCO2に比べ25倍とも言われていて、牛のげっぷなどが知られているが、実はそれ以上のメタンを排出しているのが稲作だ。

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