イラスト/石山好宏(AERA2022年9月12日号より)
イラスト/石山好宏(AERA2022年9月12日号より)

 汗をかくと、同時に出るのが皮脂だ。その皮脂は本来、天然の保湿クリームのようなもので、皮膚を守る役割を担っている。だが、汗をそのままにしていると、皮膚に残った塩分によって「汗かぶれ」を引き起こしてしまう恐れがある。さらに、元々かゆみがある人にとっては、症状を悪化させるリスクも。

 例えば、朝の通勤でかいた汗を拭くのが夕方や夜になると、汗はその間、肌にとどまることになる。さらに皮膚温や湿度が高い環境だと、ばい菌が活性化。そこに菌の栄養になる皮脂や角質がたまっていると、ニキビを作りやすく、悪化させる。また皮膚にカビが生えることもある。

「汗によるトラブルは顔に限ったものではなく、首回りが荒れてしまう人も多い。アトピーがひどいと、首のシワに沿って切れてしまうこともあります」(平田院長)

 また、暑い日に歩き回ると、シャツが体に張り付くことがあるが、背中が汗で蒸れることによってカビが繁殖したり、背中ニキビができやすくなるという。

「汗をかいたら長時間放置しないでください。汗は濡れタオルでその都度拭き取るのが望ましいです。通勤で汗をかいた場合は、会社に着いてから汗拭きシートでしっかり汗を拭くと、より効果的です」(平田院長)

 ただし注意点が一つ。アルコール入りの汗拭きシートは、刺激に弱い人にはおすすめできない。赤ちゃん用ウェットシートなど、アルコールフリーのものなら刺激が少なく、幅広い人が使いやすいという。

 そして、汗をふき取った後にも必ずすべきことがある。

「保湿です。拭いたところに、市販の乳液やクリームをそっと塗りましょう。そうして肌を守れば、まず荒れることはないかと思います」(平田院長)

 肌トラブルの原因となるのは、汗のように目に見えるものだけではない。実は、暑さが体内で驚きの反応をしているという。

 気温が高いと日焼けしやすく、シミができやすい──。この事実を2019年に突き止めたのが、ポーラ化成工業による研究だ。

次のページ