RSウイルス感染症は、発熱や鼻水など風邪のような症状が出る。国立成育医療研究センターによると、通常は1週間程度で回復するが、中には重症化して、気管支炎や肺炎の兆候が表れたり、呼吸困難で入院が必要になったりする子どももいる。

 手足口病は、口の中や手足に2~3ミリの発疹が出る。ほとんどは数日以内で治るものの、まれに髄膜炎や小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症が起きたり、心筋炎や肺水腫、急性弛緩性麻痺などが起きたりして重症化することがある。

 新型コロナウイルス感染症にRSウイルス感染症や手足口病、さらには夏風邪や咽頭結膜熱(プール熱)も加わり、小児科の医療提供体制がひっ迫してきている地域もある。

■「BA.2.75」とは

 各地の小児科や発熱外来がかなり混雑してきている。小児用のベッドも少なくなってきている。どの感染症でも、数は少ないものの重症化する子どもがいる。小児医療提供体制が崩壊すれば、いざという場合に入院ができなくなる恐れがある。

 大阪府では7月25日現在、小児用の新型コロナウイルス病床109床のうち81床(74%)がすでに埋まった。入院先が見つからない新型コロナウイルス感染者の入院先を探す府のセンターの調整件数のうち、0~15歳が占める割合は、第6波(2月1~22日)は2.1%だったのが、第7波(7月1~22日)は6.7%と3倍に増えた。

 これまでの感染拡大のパターンは、若い世代から重症化しやすい高齢者へと広がっていく。小児を含めて重症化する人を増やさないために、子どもの感染の抑制が望ましい。

 第7波の行方を左右する可能性のあるもう一つの要因は、オミクロン株の新系統、BA.2.75だ。BA.2から派生したので、遺伝子情報に基づきウイルスを分類する国際的な方法によりBA.2.75と命名された。

 国立感染症研究所によると、BA.2.75系統は今年6月に初めてインドから報告された。国際データベースには7月26日時点でBA.2.75の遺伝情報がインドや欧米諸国、日本など17カ国から470件登録されていた。

 うち337件がインドからの登録だ。国内では7月26日時点で検疫で2人、神戸市内や東京都内で12人への感染がわかっている。

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