8月に開幕するオリジナルミュージカル「流星の音色」で主演と音楽を担当する京本大我さん。作品の曲作りを始めたのは、1年ほども前。舞台に映画に活躍するなかで、心がけていることがあるという。AERA 2022年8月1日号から。

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――オリジナルミュージカル「流星の音色」で主演兼音楽に挑戦する。あまり例のない形での二足の草鞋(わらじ)は、演出を務める滝沢秀明からの提案がきっかけだった。

京本大我(以下、京本):滝沢くんが表舞台にいた時代から、僕が作った曲を聴いてもらって、アドバイスをいただくことがありました。今回、「劇中の音楽を作ったら?」と提案してくださったんですが、僕が作曲に夢を抱いていることを覚えてくれていたことも、作品の色を決めるテーマ曲という大きな責任を与えてくださったことも、すごくうれしかったです。

――9年ほど前、作詞作曲を始めた。当時は舞台の音楽を担当するとは思ってもみなかった。

京本:お芝居も演出もという二刀流への夢はありましたが、お芝居と舞台の音楽を同時にやる、という発想はありませんでした。劇中歌はソロ曲の作詞作曲とは違って、言いたいことを書けばいいわけではなく、舞台のストーリーを汲んで作る必要がある。滝沢くんに提案してもらった瞬間、興味がすごく湧いて、「やらせてください」と言いました。

――開幕の約1年前から準備を始めてきた。

京本:思ったより早く、テーマ曲のメロディーラインやアレンジはできあがりました。ただ、台本がある程度完成してからでないと作詞はできないので、ひとまず「ラララ」で歌入れしておいたんです。

■ブーストがかかった

京本:テーマ曲をモチーフにしたリアレンジものも含めて全7曲に歌詞を付けたんです。曲を生み出すことと、演じる仕事との両立は、まったく違う引き出しを使うので苦労しました。締め切りがあるとこれほど追われる気持ちになるのかという厳しさも感じました。

 リアレンジする楽曲では、メインテーマに似たメロディーラインにさまざまな歌詞をつけていくのは、難しかったです。テーマ曲の詞が頭にしみついているから元の歌詞が出てきてしまいますし、本番で歌う際にもからまってしまいそうだと思いました。そうしたことも含めて、すべてが自分の手にかかっているので、自分で挑戦するおもしろさも感じました。音楽担当として名前が出るからには、「音楽もすてきだった」と言っていただきたいから、必死に頑張りました。

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