■睡眠の質が改善する

「15分」「睡眠」を考えた時、トータル15分でできる「筋弛緩(きんしかん)法」もぜひ押さえたい。身体のさまざまな部位へ「力を入れ、抜く」を繰り返し、力が抜ける感覚をつかむ方法だ。東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科の岡島義(いさ)准教授が言う。

「緊張とリラックスは天秤のような関係で、緊張は覚醒と、リラックスは睡眠と結びつく。筋弛緩法で力を抜き、リラックスした状態に持っていくのです」

 慢性不眠症患者50人を対象に就寝前4週間実施した研究では、寝つきにかかる時間が63分から28分に減少し、睡眠時間が5.3時間から6.2時間に延びた。睡眠の質は、熟睡感が最大7点のところ、3.3点から4.9点へ上昇した。

 筋弛緩法で力を入れる時間は5秒、抜いた後の時間は20秒程度。静かな場所で、体を締め付けない服装で、椅子に座って行おう。就寝前に一通り、日中はできる範囲でやるのがおすすめだ。

「力を抜くのは、なかなか難しい。操り人形のイメージで、糸が引っ張られ、その糸が切られてストンと落ちる感じで行うといいでしょう」

 行った後はリラックス感が出るが、時間経過とともに元に戻る。繰り返すうちに深くリラックスできるようになり、戻りが弱くなる。継続して行いたい。(ライター・羽根田真智)

筋弛緩法のやり方(AERA2022年7月18-25日合併号より)
筋弛緩法のやり方(AERA2022年7月18-25日合併号より)

■筋弛緩法のやり方

【手】手のひらを握り、力をスッと抜く。

【腕】こぶしを握り肘を曲げて脇を締め(A)、ストンと落とす。

【首】頭をゆっくり下に傾ける。顔を上げ天井後方を見たら正面に戻し、頭を左右に傾ける。

【肩】両肩を上げ(B)、ストン。

【上半身】AとBを同時にやり、腕と肩をストン。

【背中】腕を垂らし後ろに引き、同時に胸とおなかを前に突き出し、ストン。

【おなか】両手をおへその下に当て、息を口からフーッと吐き、鼻から吸う。息を止め、手でおなかを押し、それを止めるように腹筋に力を入れる。苦しくなったら、息を吐くのと一緒にフーッと力を抜く。

【脚】深く腰掛け、つま先を手前にして両脚を伸ばし、ストン。

【全身】背もたれに寄り掛かり、手・腕・肩・脚の筋弛緩法を同時に行う。

AERA 2022年7月18-25日合併号