物価上昇が続くのは日本も同じ。ただ日本は外的な要因が中心で、需要が増えているわけではない。仮に金利を上げればさらに景気が冷え込みかねない。「多くの先進国が利上げに踏み切るなか、日本は金利を上げたくても上げられない状況で円安を許容せざるを得ない。ドル円相場が注目されますが、ユーロやポンド、豪ドルなどに対しても円安基調です」(神田さん)
円安になると輸入品の価格が上がるが、輸出産業には追い風になるため、経済全体での是非は判断が難しい。だが私たちの家計には確実に打撃を与える。
日本の4月のCPIは前年同月比2.5%増だった。だが日銀が2~3月に実施した「生活意識に関するアンケート調査」では、「1年前に比べ、物価は何%程度変化したと思うか」との質問に対する回答者の平均値はプラス6.6%だった。
みずほリサーチ&テクノロジーズの上席主任エコノミスト・酒井才介さんはこう指摘する。
「CPIの上昇は食料やエネルギーが中心です。生活必需品の値上げにより、実際の値上がり幅以上に『体感物価』が上がっています。そして歴史的な円安で体感物価はさらに上昇しています。多くの人が必要に迫られての節約志向になっています」
(編集部・川口穣、古田真梨子)
※AERA 2022年6月27日号より抜粋