円安に歯止めがかからない。6月15日には1ドル135円台半ばまで下落し、実に24年ぶりの水準になった。なぜ円安が急速に進んでいるのか。AERA 2022年6月27日号の記事から紹介する。
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急激な円安の背景にあるのは、米国のインフレとそれに伴う日米の金融政策の違いだ。
米国では国際的な原油や穀物価格の上昇に加えてコロナ禍で停滞した経済が回復基調にあり、モノやサービスの需要が急増。6月10日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で8.6%増えた。ある為替ウォッチャーは「ネガティブサプライズ」と表現する。
「米国のCPIは3月に8.5%増と40年ぶりの伸び率を記録しましたが、4月は8.3%増でインフレのピークを超えたと考えられていました。その予測が裏切られた形です。より強い金融引き締め策がとられるのは確実で、これが決定打となって一時135円を突破しました」
米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は3月以降、インフレを抑えるため金融引き締め策を強化する姿勢を鮮明にしてきた。6月15日には、政策金利を一気に0.75%引き上げ、年1.50~1.75%にすると決めた。
政策金利とは中央銀行が一般の銀行に融資する際の金利で、市場金利を決める基準になる。政策金利が高いほど預金や貸出金利も上がるので、モノやサービスの需要を落ち着かせて市場に出回るお金を減らし、インフレを抑える効果がある。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長が解説する。
「円安の原因は日米の金利差にあります。3月時点で米国の政策金利は年内に2%を超えると見られていましたが、今回の利上げが示すように、さらに加速しています。対する日本はマイナス0.1%に据え置いています。簡単に言うと円よりドルを預けた方がより多くの金利が得られ、その状況はさらに拡大すると見られているため、円からドルにお金が流れているのです」