水原希子(みずはら・きこ)/1990年、米国生まれ。13歳でモデル、映画『ノルウェイの森』(2010)で俳優デビュー(写真:水原希子さん提供)
水原希子(みずはら・きこ)/1990年、米国生まれ。13歳でモデル、映画『ノルウェイの森』(2010)で俳優デビュー(写真:水原希子さん提供)

 最近は若い世代でも増えている「山下達郎ファン」。幼い頃から音楽に親しんできたという俳優・モデルの水原希子さんが語る山下さんの“かっこよさ”とは。AERA 2022年6月20日号の記事を紹介する。

【水原さんが選ぶ山下達郎さんの“1曲”はこちら】

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 父と母の影響で幼い頃から音楽を聴いていました。父はブラックミュージックを中心にロックやソウル。母はクラシックやジャズ、オペラ。2人の影響もあって、私もいろんな音楽を聴くようになりました。

 私が初めて達郎さんを聴いたのは、8歳の頃。東京に住んでいたおばの家にあったカセットテープから、偶然、聴いた「ヘロン」(98年発表)を大好きになりました。でもそれから、ずっと聴き続けていたわけではなく、達郎さんの音楽と“再会”したのはこの仕事を始めるようになってから。

 20代前半の頃、めまぐるしく変わる環境に心がついていけずに、すごく落ち込んで、精神的に不安定になった時期がありました。そのとき、ふと、達郎さんの曲を聴きたくなったんです。どうしてそんな風に思ったのか、今でも理由は分かりません。でも達郎さんの歌声を聴いていると、不思議と太陽の光を浴びているような気持ちになって、すごく前向きになれたんです。今では元気なときも、落ち込んだときも達郎さんを聴いていますし、コンサートにも何度も行っています。

 達郎さんは大きな会場ではコンサートをやらないとか、テレビにはでないとか、ご自身のこだわりをすごく大切にされていますよね。だけど、リアルタイムで聴き続けている方から、若い世代まで本当にたくさんの人に受け入れられている。芸能活動をしていると、時々、求められていることと自分のやりたいこととの葛藤を感じたり、自分の思いがいつのまにか形を変えて、届いてしまうことがあります。そんなとき達郎さんの曲を聴いていると、私も私らしくいていいんだ、いろんな私を受け入れてもらうことも不可能じゃないって、勇気をもらえるんです。

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