ケガは付き物だが、重傷になる前にストップをかける。肉体を熟知し、試合に出続けてパフォーマンスを発揮している。

 大谷が投打で上々の滑り出しを切ったにもかかわらず、日本国内の野球ファンから驚きの反応が少ないのは、驚異的な活躍に慣れてしまった部分もあるだろう。思わぬ形で米国でも「別格の存在」であることを証明した出来事があった。

エンゼルスの大谷翔平は5月、大リーグ通算100本塁打や日米通算150本塁打をマーク。今季は31日現在で打率2割4分9厘、11本塁打、32打点、7盗塁(photo Orange County Register via Getty Images)
エンゼルスの大谷翔平は5月、大リーグ通算100本塁打や日米通算150本塁打をマーク。今季は31日現在で打率2割4分9厘、11本塁打、32打点、7盗塁(photo Orange County Register via Getty Images)

■米国で愛されている

 5月14日のアスレチックス戦。元女性スポーツキャスターのツイートが波紋を呼んだ。大谷の大リーグ通算100号が飛びだした直後に、

「エンゼルスの放送局、大谷の野球のおしゃべりはもう十分」

 とつぶやき、批判の声が殺到。ダラス・モーニングニューズ紙でレンジャーズ番のエバン・グラント記者も、

「歴史上に残る天才の一人で昨年のMVPを話題にすべきではない? 理由を説明してくれないか。大谷についてみんな飽きていないように思える」

 と怒りをにじませた。

 元女性スポーツキャスターはその後のツイートで、

「もう一度読んでもらったら、大谷の『ボール』についてはもう十分よ、と言ったことが分かってもらえるはず。私が言いたいことは、放送は実際に打った大谷よりも(記念球の)ボールを見せることばかりしていた。ホームランは素晴らしかった、でも、そのボールの放送は少し多過ぎたと思う」

 と弁明した。

「言葉足らずで誤解されてしまったのですが、彼女のツイッターを読む限り大谷に対して嫌悪感は抱いていないと思います。恐らく、他の選手だったらこれほど炎上しなかったのでは。それだけ大谷が米国のファンに愛されている証しだと思います」(米国在住の通信員)

「鉄人」に進化した大谷が今後どのような活躍を見せてくれるか。(ライター・牧忠則)

AERA 2022年6月13日号より抜粋

>>前編の記事/大谷翔平、抜群の投球スタイルとコースに逆らわない打撃 肉体改造で「鉄人」に進化