AERA 2022年5月23日号より
AERA 2022年5月23日号より
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 原因不明の子どもの急性肝炎が世界各地から報告されている。原因についてはさまざまな調査が進んでいる。子どもは自分では体調の悪さを訴えにくいので、周囲の大人が子どもの様子に注意したい。AERA 2022年5月23日号から。

【肝臓の異常で英国の救急を受診する1~4歳の子どもの累積数はこちら】

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 世界保健機関(WHO)は10日、昨年10月以降、原因の分からない急性肝炎を発症した16歳以下の子どもの数が世界で348人に達したと発表した。

 WHOが子どもの急性肝炎のアウトブレーク(集団発生)を知らせる警告を出したのは今年4月15日だ。きっかけは、同月5日の英国からの報告だ。英国北部のスコットランドで、5歳以下の10人が重い急性肝炎を発症し、原因が不明だった。全員、基礎疾患のない健康な子どもだった。

 肝臓は、脂肪の消化に必要な胆汁(たんじゅう)を分泌したり、血液に必要なたんぱく質などを作ったり、体内に入ってきた毒素を中和したり、健康な生活を送る上で欠かせない多くの働きを担う。肝臓に炎症が起きて十分に働かなくなる状態が肝炎だ。急性と慢性があり、炎症が半年以内に治まるものを急性肝炎という。

■英国では163人

 急性肝炎の主な原因は肝炎ウイルスへの感染だ。それ以外に、自己免疫疾患や薬剤アレルギーが原因で起こることもある。

 WHOに4月5日に報告されたスコットランドの10人のうち9人は今年3月、1人は1月の発症だった。全員、肝炎ウイルスに感染していなかった。

 スコットランドでの原因不明の子どもの急性肝炎発生を受け、英国は全国的に調査を始めた。2022年1月以降4月8日までに、主に10歳以下の74人が原因不明の急性肝炎を発症していることがわかった。

 英国からの報告を受け、WHOはアウトブレークの警告を出すと同時に、各国政府に対し、21年10月以降の16歳以下の子どもの原因不明の急性肝炎の発生状況を調べて報告するよう求めた。以来、各国からの報告が相次いでいる。

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