どん底の過去も明るく発信したら、ポジティブな経験に変わった。だから常に笑顔で前を向く(写真=張溢文)
どん底の過去も明るく発信したら、ポジティブな経験に変わった。だから常に笑顔で前を向く(写真=張溢文)

 モテクリエイター、ゆうこす/菅本裕子。ユーチューブのチャンネル登録者数は87万人、ツイッターのフォロワー数38万人を誇るインフルエンサー。アイドルとして挫折し、SNSで誹謗中傷を受けながらも、もがいてたどり着いたのは、「モテ」を追求する道だった。異性にモテるためだけではない。自立し、自分も相手も大事にし、成長し続けることができるようにと、ゆうこすは発信する。

【写真】サウナで考え事をするゆうこす

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ユーチューブの「ゆうこすモテちゃんねる」は、彼女の甘い声で始まる。

「こんにちは~、ゆうこすです。こ~んかいはぁ~……」

 モテの伝道師として、ゆうこす(27、本名・菅本裕子(すがもとゆうこ))が、モテるメイクや洋服のコーディネートなどのテクニックを動画で紹介していく。

「私はぶりっ子」と本人が公言する通り、話し方や振る舞いは愛嬌(あいきょう)にあふれている。しかし単にぶりっ子した様子を見せるだけでなく、同時にすっぴんの素顔や、フェイスパックで覆われた能面のような顔を映すこともいとわない。「女の子がお金をためて、自分の責任でかわいくなろうとするのは努力のひとつ」と、整形したことも公表した。

 ユーチューブのチャンネル登録者数は87万人、ツイッターのフォロワー数は38万人、インスタグラムでは49万人に達した。普通のタレントが見せたがらない裏での努力やあざとい工夫も含め、「モテるゆうこす」を作るプロセスを公開している点が、女子の圧倒的な支持を得るゆえんだ。

 インフルエンサーとして活動するだけでなく、スキンケア事業などを手掛ける会社「KOS」と、「ライバー」と呼ばれる動画配信者の育成・マネジメントを手掛ける会社「321」の最高顧問でもある。全事業を合わせた年商は約20億円。起業家としての活躍も目覚ましいが、ゆうこすのキャリアはつまずくところからスタートした。

 振り返れば人生の最初から、逃げ続けの人生。小学生の時は、徒競走で本気で走って負けるのが怖くて、わざと転んだ。高校では夏休みの宿題をするのが嫌で、あこがれていたアイドルになれないかと、福岡を拠点とするHKT48のオーディションを受け合格、創設メンバーとなった。

 そこで思い知ったのは、自分の個性のなさ。AKB48選抜総選挙ではランキングに入れず、ショックを受けた。

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