動画の撮影場所は主に自宅で、寝室や浴室なども登場する。本棚にはマンガがずらりと並ぶ(写真=張溢文)
動画の撮影場所は主に自宅で、寝室や浴室なども登場する。本棚にはマンガがずらりと並ぶ(写真=張溢文)

「モテるために生きてる」
女性向けに路線を変更

「(SKE48の)須田亜香里ちゃんは握手会でファンの名前を覚える『神対応』、さしこ(指原莉乃)ちゃんなら『ヘタレキャラ』など、選ばれる人にはみんな個性があった。同じ服を着て同じダンスをする中で、『自分らしさ』がないと勝てない、と痛感しました」

 結局、わずか1年ほどでHKTを脱退。その際「未成年なのに、ファンと飲酒や喫煙をした」とデマを流され、SNSで誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)を浴びた。人生で初めて自ら撮影した動画は、デマへの反論だ。しかしこの動画も膨大な「アンチコメント」を招き、一時はツイッターに「おはよう」と投稿すると、即座に「死ね」とコメントがついたという。ゆうこす自身、後に業界関係者に「当時のことは、よく覚えていないんですよ」と語ったほど、つらい時期だった。

 HKTをやめ、「料理の道に進む」と料理専門学校を卒業した。細々と、地元でタレント活動を再開したが、最初に開いたイベントで、定員100人の会場に来たファンはたった3人。その後も客は集まらず、数人で黙々とゲームの「マリオカート」をプレーしたこともある。他にめぼしい仕事もなく、ほとんど「自宅警備員」状態だった。地元の狭い社会で「あの子、HKTだったのに今はニートだって」とささやかれるのが怖くなり、両親から片道の航空機代だけをもらって、2015年、逃げるように上京した。

 ただこのころになると、いい加減どん底の精神状態でいることに「飽きてきた」。

「一度は炎上しちゃったし、もういいや! これからは好きなことだけやったろー、楽しいことだけしたろー!」

 開き直りにも似た気持ちになり、「じゃあ、私の好きなこと、楽しいことって何?」とじっくり考え始めた。もともと、何ごとも深掘りするのが好きな、オタク気質でもあった。HKT時代に個性を表現できなかった反省もあり、今後どう生きるのか、自分を掘り下げてみたのだ。

 料理が好きで、メイクやファッションが好き。それはなぜか。料理は好きな子に食べさせて、喜んでもらいたいから。メイクやファッションで男の子にかわいいと思ってもらいたいから。そういえば、中学時代は「こんなメイクがモテるんじゃないか」といった「モテノート」をつけていた。高校受験で難関校を受けるためにがむしゃらに勉強したのも、好きな子を追いかけたかったから……。

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