ポーランドでウクライナ難民を支援する東優悟さん(右から3人目)、婚約者(同2人目)、息子(右端)と、受け入れている家族(photo 東さん提供)
ポーランドでウクライナ難民を支援する東優悟さん(右から3人目)、婚約者(同2人目)、息子(右端)と、受け入れている家族(photo 東さん提供)

NGOと一緒に託児所

「難民の数が多すぎて、ポーランド政府の対応はどうしても遅れます。僕たちのような民間人が動かないと、多くの難民が飢えることになります」

 そう話す東さんは、難民が避難している「支援センター」や駅などにも食料や毛布など物資を届けている。すべて手弁当だ。

 息つく間もなく、睡眠も満足に取れない。だが、戦争に傷つき苦しむ人たちがいる、その人たちの力になりたい──。その一心で踏ん張っているという。

 今、東さんが進めているのが、集まった支援金で現地の非政府組織(NGO)と一緒に託児所をつくることだ。

 難民になった母親たちは、生活していくためポーランドで働かなければいけない。その際、子どもの預け先があれば母親は安心して働くことができ、その施設で母親が働けば収入源になる。そのための託児所だという。

「ウクライナに残って妻や子どもを心配している父親たちも、安心させることができると思います」(東さん)

 4月中旬の開設を目指す。ただ、支援に終わりはないという。戦争はいつ終わるかわからず、終わっても破壊されたウクライナにいつ戻れるかわからない。そのためにも継続的な支援が重要だと訴え、自身のフェイスブックなどを通し寄付を募る。

 首都ワルシャワなどにも託児所をつくり、戦争が終わりウクライナに帰った時、ポーランドでは孤独を感じなくて済んだという場所にしたいという。

「一人でも多くの子どもを救いたい」

(編集部・野村昌二)

AERA 2022年4月18日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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