AERA 2022年2月14日号より
AERA 2022年2月14日号より

 先進国株式の投資信託は定番だが、驚きの手数料を打ち出す新商品が登場した。AERA 2022年2月14日号の記事から。

【図版】超低コストの投資信託は5183本中何本?

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 1月は内外の株式市場が低迷した。年明けから米国の代表的な株価指数S&P500とNASDAQ100は下がり始め、つい先日までの高騰ぶりとは対照的な展開に。それに連動して国内の日経平均株価も冴えなかった(2月に入り反発)。

 2020年春以降の上昇局面しか経験していない初心者は目先の下落がショックだった様子。積み立てていた米国株ファンド(投資信託、以下投信)に早くも見切りをつけ、「全世界株式」や「先進国株式」など“米国100%ではないファンド”に乗り換える動きも見られた。

 本来、投信の積み立てはこうした局面こそ平常心で運用を続けるのが鉄則。下がっても定額で入金し続けていると安く多く買い付けられる。先々で上昇局面が訪れた場合に、安く買えた分が効いてくるわけだ。

 そもそも派手に上がってきた相場には、真逆の展開がつきものだ。この程度の下落で慌てるなら、米国株だけに特化せず、せめて全世界株式や先進国株式ファンドを選ぶべきだろう。

■破格の0.077%

 その選択肢の一つとして、21年12月21日に運用を開始した「SOMPO123先進国株式」という名の商品は業界に衝撃を与えた。信託報酬(投信の保有中に差し引かれる手数料)が競合と比べて破格なのだ。

 これまで先進国株式の投信の“3強”は、信託報酬0.1%台で競っていた。対してSOMPO123先進国株式は0.077%。これまでの最安0.1023%より0.0253%も下回っている。安いからにはワケがある──どういう設計で、ここまで下げられたのか。SOMPOアセットマネジメントの谷達則さんに聞いた。

「対面販売はシニア層が多く、一括投資をする方が主流で、保有期間も比較的短めです。それに対し、現役世代で積み立てを行っている方は長期投資で解約されにくいことに注目しました。大手ネット証券5社における投信積み立ての推移を検証すると、21年は月間ペースで平均69億円ずつ買い付け額が増えています。SOMPO123先進国株式がその一部のシェアを獲得するだけでも、採算は合うのではないかと考えました」

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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