保護犬カフェで犬と戯れる瀬川さん。自宅で飼っている3匹の犬のうち2匹は保護犬(photo 瀬川さん提供)
保護犬カフェで犬と戯れる瀬川さん。自宅で飼っている3匹の犬のうち2匹は保護犬(photo 瀬川さん提供)

 保護犬カフェに総額80万円を寄付してきたプロ格闘家がいる。そこから、格闘家と会社員を両立するデュアルキャリアの道も開けた。AERA2022年2月7日号の記事を紹介する。

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 19歳でプロキックボクサーになった瀬川琉(りゅう)さん(23)は、ファイトマネーを「保護犬カフェ」に寄付している。約4年間の寄付総額は、現金と現物支給を合わせて約80万円。きっかけは、約4年前に愛犬のダックスフントが他界したことだった。

「とにかくショックで。すぐに愛犬に似た犬を探しました。複数のペットショップを回ったのですが、巡り合えず。その中で、たまたま保護犬カフェというものを知り、そこで偶然出合えたダックスを引き取りました」(瀬川さん)

■SNSにメッセージ

 保護犬カフェとは、保護犬と里親の出合いを提供する場。瀬川さんは、NPO法人Love Fiveが運営する保護犬カフェの西八王子店で“2代目”と出合ったのを機に、同店に通い始めた。スタッフと話す中で、同店の物資不足の現状を知り、プロデビュー戦から、現金をはじめ冷却扇風機やオムツなどの物資を寄付してきた。再び愛犬と出合えた感謝の気持ちで始めたが、予想外の反響があった。

「寄付をするたびにお店のインスタグラムで紹介してくれて、自分のSNSのフォロワーも増え、格闘家としての認知度も上がっていきました。結果的に、寄付した自分にもメリットがあり、寄付へのモチベーションも高まりました」(瀬川さん)

 格闘家としての収入は、大会出場で得るファイトマネーの他に、チケット販売額、そしてスポンサー契約がある。

 2020年初め、瀬川さんは、スポンサー契約の相談で、フロアコーティング会社のエコプロコート(横浜市)に連絡をした。同社は、ペットがすべって関節を痛めないよう特殊なフローリング加工をする「愛犬の床」を提供している。「何か一緒にできるのでは」と考え、同社のSNSアカウントにメッセージを送った。実は同社社長の伊藤大輔さん(46)もボクシング経験がある。

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