龍谷大学では昨年度から学生への食の支援を続ける(龍谷大学提供)
龍谷大学では昨年度から学生への食の支援を続ける(龍谷大学提供)

 コロナ禍で孤独に悩んだり経済的に困窮したりする学生が多い。特に、入学時にコロナ禍が直撃した2年生の状況が厳しい。未来を背負う若者をどう支援するか。AERA 2021年10月25日号は、各大学の対策を追った。

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 新型コロナウイルスの感染拡大で対面授業や課外活動が中止され、学生生活は大きく変わった。全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)が今年7月に実施した「コロナ禍の大学生活アンケート」(回答者7832人)では44.7%の学生が「学生生活は充実していない」と回答。「意欲がわかず、無気力に感じる」を選んだ学生は45.3%に上った。学生総合共済の「こころの早期対応保障」の今年4~7月の給付は昨年同期比429件増の905件だった。

 アンケートを企画した全国大学生協連学生委員長で琉球大学生の安井大幸さん(23)は言う。

「大学に行けず、つながりや社会体験の機会が失われ、自分が何者かわからなくなっている学生は多いです。各大学がさまざまな支援をしていても、友人がいなかったり、入学後のオリエンテーションの機会がなかったりして、情報が手に入れられていない学生もいます」

 龍谷大学を今年春に卒業した河合祐樹さん(23)は、充実した大学生活を送っていたが、実家の家業が経営難で不安だったうえ、コロナ禍に翻弄(ほんろう)された。オンライン授業になった昨年の前期は数単位しか取得できなかった。 

「コロナで理由がないと友だちに連絡しにくくなり、オンラインでは誰が一緒に授業を受けているかもわかりづらく、困ったときも聞きにくい。後期は大学の学生支援室のサポートで残りの単位が取れ、卒業できました」 

 なかでも2年生の状況は厳しい。前出の全国大学生協連のアンケートでは、登校日数は1年生が週平均3.1日なのに対し、2年生は2.6日。自由記入欄にはこんな切実な訴えもあった。「2回生ですが対面授業がほとんどありません。ですが1回生は毎日登校していると聞いています。なぜ学年・学科によって差が生まれているのか。学費を同じ分だけ払っているのにどうしてこのような差が生まれるのか、理解できません」(滋賀県/理工系2年/女性) 

 全国大学生協連広報調査部部長の安田祐司さんはこう語る。 

「ある大学の学長は、すべてオンライン授業だった昨年度の反省を踏まえ、今年度は対面に舵を切ったのですが、教室の制約などで1年生を重点とせざるを得ないと話していました。他にもそのような大学がいくつもあって、2年生が取り残されています」 

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