■「居場所なし」27.6% 

 アンケートによると、「大学でできた友人の数はゼロだ」と答えた割合は1年生が5.8%、2年生が7.3%。「一緒に講義を受ける友人がおらず居場所がない」と答えた割合も、1年生19.5%に対し、2年生は27.6%にも上った。気分の落ち込みや無気力、孤独感なども2年生の数値は他学年より高い。 

 自殺者の増加も深刻な問題だ。国立大学保健管理施設協議会メンタルヘルス委員会のメンバーの調査によると、2020年度の国立大学生の自殺率は10万人あたりで17.6人(男性21.2人、女性11.3人)と前年度から1.4倍に増え、過去6年で最多になった。 

 調査と分析にあたった茨城大学保健管理センター所長の布施泰子教授(精神医学)は言う。 

「友人と交流する機会が減って孤立する学生が増えたことや経済的な困窮が自殺率を押し上げた要因だと考えられます。国立大学と比べて学費の負担が重い私立大生がより深刻な可能性もあります。大学側があの手この手で学生を支援していくことが求められます」 

 龍谷大学は同大生協と連携し、1食100円で定食が食べられる「百縁夕食」を6月下旬~8月上旬の平日に実施した。対象は一人暮らしの学生。密を避けるため事前予約の3部制にし、1日約400人が利用した。総務課の野村珠美さんは言う。 

「学生アンケートの結果から、一人暮らしの学生の約20%が『食費を削らざるを得ない』と回答するなど、生活が困窮している現状が判明し、食支援の実施を決定しました」 

今年実施した100円で定食を提供する「百縁夕食」も好評だった(龍谷大学提供)
今年実施した100円で定食を提供する「百縁夕食」も好評だった(龍谷大学提供)

■精神的にも支えられた 

 百縁夕食を利用した1年生の太田雄斗さん(18)は言う。 

「一日誰ともしゃべらない日もある。自分で料理するとなると時間もお金もかかるし、1人で自分の部屋で食事をしていると寂しさがあった。黙食でも誰かといるだけでうれしかった」 

 百縁夕食の前後には、友だちづくりや授業サポートを目的に、上級生によるサークル紹介やリポートの書き方講習会などもあった。2年生の川並栞さん(20)は、食材や食事などの物理的な支援だけでなく、精神的にも支えられたと話す。 

「高知から出てきて親戚もいなくて不安が大きかったけど、食の支援を通して、私たちは見捨てられていないんだと思えて、支えられました。学部を超えたつながりが全くなかったなか、百縁夕食で他学部の学生や先生とつながりもできました」 

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