平井卓也さん(63)前デジタル大臣(c)朝日新聞社
平井卓也さん(63)前デジタル大臣(c)朝日新聞社

──これまで平井氏が勝ち続けてきたのは、有権者に選ばれたからです。平井氏に投票した人はどんな思いなのでしょうか?

「なぜ君」の監督ですから、警戒されるのでしょうか。平井陣営への取材は難航しています。それでも何度か香川に通ううちに、数人ではありますが話をしてくれる人に出会えました。ある建設会社の経営者は「ウチは公共工事の割合が大きいから政権与党に入れるのは当たり前」と正直に語っていました。高松市中心部で30年以上、商店を営む人は「この街で商売をしている以上、取材などで付き合いがある四国新聞は敵に回せないんです」と話していました。

小川淳也さん(50)立憲民主党議院運営委員会・野党筆頭理事(c)ネツゲン(大島さん)
小川淳也さん(50)立憲民主党議院運営委員会・野党筆頭理事(c)ネツゲン(大島さん)

■「現状維持」か「変革」か

 撮影はNGでしたが、商店街の顔役は「正直国会議員が誰か、ということは商売にあまり関係がないんだけど、県議会議員や市議会議員との結びつきが強く、そのほとんどが自民党だから」との答えでした。

──なるほど。共通するのは「現状維持」を望むという空気だったのですね。

 そもそも保守という概念は、理屈ではなく、これまで培われてきた伝統や価値観に意味を見いだす態度であり、現状維持を基本として、時代の変化に合わせて微修正していく考え方です。

 一方のリベラルは、理想や理念によって変革を求める政治姿勢であり、社会は変えられる、あるいは変えなければならない、という考え方ではないでしょうか。小川氏は特にその傾向が強く、これまでの日本の政治体制や政策体系を、ドラスティックに変えるという考えを持っています。

 その視野は気候変動への対応や、脱経済成長社会を目指すなど、世界の統治体制にまで及んでいる。大きく言えば、この選挙は「現状維持」か「変革」かを問う闘いなのです。おそらくこれは香川1区だけでなく、日本中の多くの選挙区で見られる現象だと思っています。

──小川氏にとっては7回目の対決になります。選挙区で勝てますか?

 こればかりは本当にわかりません。政権の支持率にもよります。ただ、前回以上のいい勝負になる可能性が高いと思いますし、無党派層の投票率が上がれば、勝機も出てくるでしょう。

(構成/編集部・中原一歩)

AERA 2021年10月25日号