SNSでは、一部の人から発信された特定のツイートの方が拡散しやすく、大きな影響力を持つ傾向があります。逆に、ほとんどのものは拡散されない。29という数字は少ないように思えますが、同様に「反ワクチンの投稿を批判する」ツイートの約50%の出所は四つのアカウント。総投稿数は13万件でした。

 投稿している人のアカウント数は「反ワクチン」のツイートを否定する側が多く、「反ワクチン」を主張する人の約2倍にのぼります。つまり、1人あたりの拡散数は、デマを広めたい人たちの方が多い。ワクチン肯定派の人は、肯定的な情報を一度出せば十分です。しかし「反ワクチン」の人たちは、自分たちの主張が世間に認められるために、多くの情報を何度も拡散する必要性を感じているのかもしれません。

 デマにだまされないためにはどうすれば、ですか? デマがなくなることはありませんし、確実にだまされます。私も、よく間違った情報を信じてしまいます(笑)。

 よく「だまされるなんてアホだな」と思いがちですが、大事なのは、「だまされるアホは自分だ」と気づくこと。自分の信じているものが「実は違う」という可能性が常にあることを意識することです。

 そして、だまされたらそれは仕方ないけど、新しい情報が手に入った時点で、ちゃんと考え直すこと。要は「情報のアップデート」を常にするように心がけることが大切だと思います。

(構成/編集部・小長光哲郎)

AERA 2021年9月6日号

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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