■リアルな学びの場

「これまでの恐竜展示では違う時代の恐竜が向かい合っていたりポーズも単調だったり、本当に恐竜たちが『生きていた』世界が見えてこなかった気がしていました。この展示からレインやその時代の恐竜たちが確かに生きていたこと、彼らが『どんな世界を見ていたのか』を知り、学びと好奇心の入り口にしてほしい」（田中）

　コロナ禍で開催はギリギリまで揺れた。感染防止対策を徹底しつつ開催を決意した理由を、開幕前日に行われた記者発表会で、製作委員長でソニー・ミュージックエンタテインメントの水野道訓はこう話した。

「コロナ禍で子どもたちのリアルな学びの場が激減してしまった。成長の早い子どもたちにとって『今年の夏休み』は一度限り。この新しい恐竜体験をとおして、子どもたち、また大人のかた一人一人に感動と学びを得ていただければと思います」

　きっとここでしか味わえない恐竜との出合いがある。（文中敬称略）（フリーランス記者・中村千晶）

※AERA　2021年8月16日－8月23日合併号