プロマイドで名高いマルベル堂が今年、創業から100年を迎えた。昭和のスターやアイドルたちの人気を測る目安でもあったプロマイドだが、現在では一般客向けの撮影プランも登場している。マルベル堂の今、そして創業200年に向けたこれからとは。AERA 2021年8月16日-8月23日合併号の記事を紹介。
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プロマイドのマルベル堂は2014年から、新しい試みとして、一般客向けの撮影プラン「マルベル80’s」をスタートさせた。依頼者の多くは、20代だ。その理由が、この数年、20~30代に起きていると言われる80年代ブーム。何故いま注目されているのだろうか。
80年代が大好きで、昭和のアイドルに憧れる20代のマリーさんの場合は、南野陽子さんやWinkなど80年代後半に活躍したアイドルのファッションに興味を持ったことが入り口となった。「歌詞の世界観や、プロデュースの仕方がいまとはまったく違うところが面白い」と言う。
「経済的に潤っていた時代への憧れもあるのかもしれません。私は90年代生まれで、景気のいい時代を知らない。就活にあたって、黒いリクルートスーツにベージュのコートで髪を結んで、っていう時代だから、うらやましいんです。夢の世界というか」
そんなマリーさんに、マルベル堂の80年代撮影プランを体験してもらった。スタジオには、アイドルらしい衣装や、吉永小百合さんも撮影に使ったという椅子、ダイヤル式の赤電話、ラジカセなど、昭和を感じさせる小道具が並ぶ。まずは、昔ながらのセーラー服を着てもらうことに。テニスラケットや卒業証書に桜など、一昔前の高校生らしいアイテムを使いながら撮影していると、マリーさんが「セーラー服着たの、はじめて。革の学生鞄とかも憧れてました。こういう学生時代、過ごしたかった」とつぶやいた。「お客さんの、こういうことをやりたかったけどできなかった、という思いを叶えてあげたい」と店長で6代目カメラマンの武田仁さん。
■再現したのは本田美奈子さんのポーズ
本田美奈子さんのプロマイドの再現にも挑戦した。「下唇をちょっと噛んで首をかしげて」「電話のコードに人さし指絡めて」と武田さんからマリーさんに具体的な指示が飛ぶ。「古いねー! こんなポーズ、いま見ないよね。『ダサい』は、うちではほめ言葉だからね!」