西武の平良海馬は身長173センチ、体重100キロ。7月6日に失点するまで39試合連続して失点せず、2006年の阪神・藤川球児の記録を抜いた (c)朝日新聞社
西武の平良海馬は身長173センチ、体重100キロ。7月6日に失点するまで39試合連続して失点せず、2006年の阪神・藤川球児の記録を抜いた (c)朝日新聞社
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高卒4年目の平良海馬 西武を支える新守護神(AERA 2021年7月19日号より)
高卒4年目の平良海馬 西武を支える新守護神(AERA 2021年7月19日号より)

 西武の平良海馬が39試合連続無失点のプロ野球新記録を樹立した。沖縄の離島・石垣島が生んだ「大投手」の原点を恩師たちが語った。AERA 2021年7月19日号の記事を紹介する。

【図】平良海馬の「39試合連続無失点」を振り返る

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 39試合連続無失点のプロ野球新記録を達成した西武のリリーフ投手・平良海馬(たいらかいま=21)は、クイックモーションで投げる最速160キロの豪速球で知られる。だが、身長は173センチとプロとしては小柄だ。不利な条件をはねのけた体と精神力の強さは、沖縄の離島で育まれた。

 沖縄本島から400キロ離れた石垣島(沖縄県石垣市)出身。小学1年で野球を始めた。中学硬式野球チーム・八重山ポニーズではたった9人で代表を勝ち取り、全国大会に出場した。

■高校時代に退部申し出

 高校は甲子園出場経験もある地元・八重山商工へ。だが、朝5時半から始まる練習にたびたび遅刻するなど厳しい練習に音を上げた。ひと月ほどで退部を申し出た。

 当時監督だった伊志嶺吉盛さん(67)が「本当にいいのか。一番応援している母ちゃんが悲しむよ」と言い、その場で平良の母に電話をかけて本人と代わった。平良は涙を流し「もう一度頑張ります」と決意。伊志嶺さんが自宅敷地内に建てた寮に入り、野球に打ち込んだ。

 昨季、新人王になった平良に「おめでとう」と伊志嶺さんがメッセージを送ると、「あのとき辞めなくてよかったです」と返信があったという。

 高校1年時には立てた棒(ティー)の上に置いた球を打つ「ティー打撃」で122メートルを飛ばし、2年時には投球で140キロ台をマーク。パワーはあったが、実は腹筋メニューはチーム内で下のほう。2年夏に監督を退任した伊志嶺さんはトレーニングジムの入会を勧めた。伊志嶺さんはこう振り返る。

「上半身だけであれほどの球を投げられるのだから、体幹と股関節を鍛え、下半身も使えれば、あの身長でもプロ入りが見えてくると思ってね」

 平良は下半身を強化し、「大化け」した。部員不足のため島外の高校と合同チームで臨んだ3年春の沖縄県大会で球速152キロを記録。スカウトの目に留まり、2017年秋のドラフト4位で西武に入団した。

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