危険なのは「盛り土」だけではない 土砂災害が起きやすい4つの条件

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2021/07/10 10:00

土石流の起点とみられる、崩落した山の斜面=静岡県熱海市(C)朝日新聞社
土石流の起点とみられる、崩落した山の斜面=静岡県熱海市(C)朝日新聞社
大量の土砂が流れ込んだ国道の復旧作業にあたる自衛隊や警察の関係者=静岡県熱海市(C)朝日新聞社
大量の土砂が流れ込んだ国道の復旧作業にあたる自衛隊や警察の関係者=静岡県熱海市(C)朝日新聞社
土石流は右上から中央下方向に流れていったとみられる=静岡県熱海市(C)朝日新聞社
土石流は右上から中央下方向に流れていったとみられる=静岡県熱海市(C)朝日新聞社
土石流の起点とみられる上流部の斜面(手前)。奥は市街地(C)朝日新聞社
土石流の起点とみられる上流部の斜面(手前)。奥は市街地(C)朝日新聞社

 静岡県熱海市伊豆山(いずさん)で発生した土石流のため、7月8日現在で死者は9人、安否不明者は22人に上っている。災害を引き起こしたのは「盛り土」が原因とも言われているが、専門家は「急な扇状地で条件がそろえば、盛り土のあるなしにかかわらず、大雨で土石流が発生するリスクが高い」と指摘する。梅雨末期の豪雨や台風シーズンを控えて警戒すべき場所とは――。

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*  *  *
「土石流が発生した伊豆半島北部は、過去の富士山の噴火の影響で火山灰が40~50センチは積もっている軟弱な地盤です。そんなところに水抜きの対策もせずに盛り土をしたら、崩落の危険が高まるのは当然。地元ではいつか大規模な土石流が起きると言われていました」

 こう語るのは、現地を取材したジャーナリストの有賀訓氏だ。

「土石流が起きた斜面は過去に小規模な崩落が何度か起きています。昔から熱海に住んでいる人は、ここに家を建てるべきではないと知っていました。しかし、15年ほど前に宅地造成して家が建ち、さらに建設残土の処理場にも転用してどんどん土を入れてしまった。今回の災害は人災です」

 立命館大学教授の高橋学氏(災害リスクマネージメント)も、立地の悪さを指摘する。

「今回のように厚い火山灰に覆われている急斜面に多量の雨が降ると、土が生コンのようなドロドロの状態になって斜面を滑りだす。熱海や(隣接する)湯河原の扇状地では過去に何度も土石流が発生して土が削られたため、その場所が海を望む眺望の良い斜面になっているほど。そんな危険な斜面がある場所を宅地化してしまったことが問題なのです」

 しかも、造成で森林を伐採したことで土壌の保水力も弱まっていたが、雨水を貯留するための防災調整池も設けられていなかった。

 今回の土石流を受けて、国土交通省は全国に5万1千カ所ある大規模な盛り土造成地を総点検する検討を始めた。だが、高橋氏は、

「盛り土は今回の土石流の原因の一端だが、それだけに注目するのは危険」

 と警鐘をならす。

「火山灰の地質の土地や風化した花崗岩がある場所では、斜面が崩落するケースが数多くある。700人を超える死者と行方不明者を出した1938年の阪神大水害、2018年の中国地方(西日本)豪雨もそうでした。18年の(北海道)胆振東部地震では揺れで斜面が崩れた。条件さえそろえば、盛り土がなくても同様の災害は起こり得るのです」

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危険な斜面とは?

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