庄村:前のバンドにいた時から、他の人たちとはギラつき感の次元が違いました。ライブもそうだし、MCにも一言一句迷いがなかった。ハコの大きさと胸の張り方がいい意味でアンバランスで、見据えているものが違う。死ぬ気でバンドをやっている人たちだと思っていました。

■愛を声高に叫ぶ

——デビューが決まった後も、4人はルームシェアをしながら暮らしていた。

川上:ファーストアルバムの時は、4人で暮らしているマンションの地下室にみんなで集まって、深夜から朝まで曲を作っていました。大家さんが作った防音のカラオケルームだったんです。恵まれた環境でした。

磯部:スタジオ代が浮いたのは、大きかったですね。バンド一本で食べていけるようになってからも、しばらく4人で暮らしていたので。貴重な20代の大半だったんですけど(笑)。

川上:(お互いを深く知ったというのは)無意識のうちにありますね。音楽以前の話として、けんかしたとしてもどこかで信用できる。家族みたいな過ごし方をしていたので。

——3月20、21日に予定されているライブが無事に開催されることを祈りつつ、4人はステージにかける思いを語った。

川上:聡泰くんがこのアルバムとライブをもって勇退するというのは、[Alexandros]にとって大きなターニングポイントです。

白井:ライブを延期した一つの理由は、聡泰が勇退する場をちゃんと設けたいというのがあったからです。オンラインでやることもできたかもしれないけれど、実際に会えないのは残念すぎる。彼の最後の舞台を、ちゃんと彩って送り出してあげたいという思いがありました。

磯部:久しぶりの大規模なライブだし、しかも聡泰と作り上げてきた10年間を彼と一緒に完結させるようなステージにします。自分はもちろん、全員にとって楽しい日にしようと思っています。

庄村:これからはきっと、コロナ前に戻るのではなく、一人ひとりの愛が試される世の中になっていくのだと思います。ありとあらゆるものに制限がかかっても、それでも好きなものへの愛を声高に叫びに来ましょうっていうことですね。僕は[Alexandros]への深くてでっかい愛を持ってステージに上がらせていただく。愛と愛のぶつかり合いになると思います。

(ライター・柴那典)

AERA 2021年3月15日号