——3月17日、2度目の緊急事態宣言による延期を経て、いよいよベストアルバム「Where’s My History?」をリリースする。1月から延期されたライブも千葉・幕張メッセに会場を変更して3月20日と21日に予定されている。

 ドラムスの庄村聡泰(さとやす)は、このアルバムとライブをもってバンドを“勇退”する。19年、局所性ジストニアの症状が表れた。日常生活に支障はないが、ドラムを叩く際、身体が思うように動かない。休養し治療にあたったが症状は改善しなかった。

庄村聡泰(以下、庄村):いろいろなことを何度も試してみたんですが、少しうまくいったことが翌日にはゼロに戻る、1日ごとにリセットされているような日々でした。「演奏するって何だっけ? ドラムって何だ?」というところまで行き着いてしまった。このままだと、叩きたくても叩けないドラム、音楽、スタッフ、メンバー、最終的には自分自身も含めて全てを嫌いになってしまいそうだった。ドラムを叩ける自分よりも、音楽を好きな自分、何より[Alexandros]というバンドが大好きな自分でありたかった。そこを優先するためには、自分の人生からドラムを切り離すしかなかったんです。

 思いを一人ひとりに伝えました。その中で、洋平が「脱退」ではなく「勇退」という言葉を自分に冠してくれた。自分らしく、[Alexandros]の一要素として存在できていることが、本当に幸せだと思っています。

■ギラつき感が違った

——庄村がバンドに加入したのは10年。デビュー直後のことだ。

川上:彼は高校の後輩で、ライブハウスでよく対バンしていたんだけど、俺は「このドラムをいつかほしい」と思っていました。彼が当時いたバンドが解散すると聞いて、「これは運命だな」と、誘い入れました。この4人になったのが、[Alexandros]にとって一番大きなこと。ドラムは想像以上だった。彼はお洒落だったので、ファッションのこともいろいろ教えてくれたし、バンドのレベルを上げてくれました。

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