AERA 2021年2月15日号より
AERA 2021年2月15日号より
AERA 2021年2月15日号より
AERA 2021年2月15日号より

 ついに来た花粉の季節。鼻の奥をすっきりと洗い流す鼻うがいに注目が集まる。医師はコロナ予防にもと勧める。AERA 2021年2月15日号から。

【鼻の奥を洗うのがカギ! 鼻うがいの手順とポイントはこちら】

*  *  *

 新型コロナの感染拡大が収まらない中、花粉症の人は試練の日々を迎えている。今年は花粉症のつらい症状にコロナ感染のリスクが潜んでいるからだ。

 花粉症で目のかゆみや鼻水が気になって、素手で目や鼻に触れると自分が新型コロナに感染するリスクが高まる。人前でくしゃみをすると、他人に新型コロナを感染させるリスクも高めてしまう。そもそも、人の多い場所でくしゃみなどしたらどんな目で見られるか──。

■鼻の奥を洗うのがカギ

 そんな今シーズンだからこそ注目したいのが鼻うがいだ。花粉症と新型コロナのどちらにも予防や治療の効果がある、と一部で指摘されているのだ。

「花粉症を含むアレルギー性鼻炎に対する鼻うがいの効果は既にさまざまな論文で示されていますが、私は新型コロナ対策にも重要と考えています」

 こう話すのは、医師でNPO法人「日本病巣疾患研究会」(JFIR)理事長の堀田修さんだ。

 鼻うがいは、鼻腔に生理食塩水を流し込む鼻洗浄だ。生理食塩水は人間の体液と同じ塩分濃度0.9%。1リットルの水に9グラムの塩を入れればよい。そうすれば真水を鼻に入れたときのように、「ツン」とする違和感を免れる。最もシンプルな方法は、片方の鼻から生理食塩水を注入して、もう一方の鼻や口から吐き出す。ポイントは鼻の奥にある上咽頭の洗浄だ。

「風邪のひき始めに感じる『のどの痛み』は上咽頭の炎症による痛みです。コロナウイルスも上咽頭に付着しやすいことが分かっています」(堀田さん)

 上咽頭は左右の鼻から入ってきた空気が鼻腔を抜けて合流し、下向きに方向を変える場所。空気の滞留が生じて常に湿っているためウイルスに感染しやすい一方、多くの免疫細胞が存在し、外から入ってきたウイルスを撃退する働きがある。このため、上咽頭は炎症を起こしやすく、炎症の影響によってのどの痛みやせき、発熱など風邪のさまざまな症状が表れる。

 塩水を使った鼻うがいで四つの効果が期待できる、と堀田さんは言う。

「鼻腔内の異物を洗い流す効果、粘膜表面の繊毛(せんもう)運動を活発化させる効果、粘膜のむくみを軽減する効果、そしてウイルスの増殖を抑制する効果です」

 塩水に含まれる塩素イオンが上咽頭の上皮細胞に取り込まれると、次亜塩素酸が生成されるという。次亜塩素酸はコロナウイルスを含むさまざまなタイプのウイルスに対する阻害作用を持つため増殖を防ぐという。

著者プロフィールを見る
渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

渡辺豪の記事一覧はこちら
次のページ