「英国変異株」だけ警戒は意味なし…もっと怖い型が流入済み? 専門家が指摘する二つの根拠 (1/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「英国変異株」だけ警戒は意味なし…もっと怖い型が流入済み? 専門家が指摘する二つの根拠

大平誠AERA#新型コロナウイルス
変異型の死亡リスクが従来型より高い可能性があると話す英ジョンソン首相/1月22日(写真:gettyimages)

変異型の死亡リスクが従来型より高い可能性があると話す英ジョンソン首相/1月22日(写真:gettyimages)

AERA 2021年2月8日号より

AERA 2021年2月8日号より

 英国発の「変異株」への恐怖が広がるが、実はもっと怖い変異株が他にもある。どんな敵が日本に入り込んでいるのか。データが無いのが真の問題だ。AERA 2021年2月8日号から。

【図を見る】新型コロナウイルスは変異を繰り返してきた

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 イギリスで猛威を振るう「変異株」。昨年12月にジョンソン首相が「感染力が1.7倍の変異株が流行している」として、翌月にはイングランド全土のロックダウン(都市封鎖)を発表。1月22日には死亡率も高い可能性があると発表し、世界に衝撃が走った。水際対策として政府が年末に海外からの入国を停止した日本でも、イギリスへの渡航経験が無い3人から「変異株」が見つかった静岡県で知事が「緊急警報」を出すなど、不安や危機感が広がる。

 イギリス発の変異株は「VOC‐2020 12/01」と名付けられ、南アフリカで見つかった「501Y.V2」とともに世界中の注目を集めている。しかし、中国・武漢発とみられる今回のウイルスが、約1年経って突然この二つに変異したわけではない。世界に蔓延する過程で無数に変異を繰り返し、毒性や感染力を強めたり弱めたりしながら今に至っているのだ。

■変異続ける新型コロナ

「この二つは、感染させる細胞に侵入するためのウイルス粒子の外側のスパイク(突起)に変異がみられますが、スパイクの変異はこの1年で何十も起こっており、ありふれたことです」

 ウイルスの変異に詳しい京都大学大学院医学研究科癌創薬イノベーション研究室の上久保靖彦特定教授はこれら二つだけを特別視する日本の状況に疑問を投げかける。上久保教授と、吉備国際大学大学院保健科学研究科・高橋淳教授は共同で、インフルエンザとコロナウイルスの遺伝情報を集積する「鳥インフルエンザ情報共有の国際推進機構(GISAID)」に寄せられた各国のデータを元に新型コロナウイルスの疫学的解析、構造解析を進めてきた。

 新型コロナは、頻繁に突然変異を繰り返す「RNAウイルス」と呼ばれるものだ。2人の共同研究によると、変異は100以上あるが、そのうち2020年11月までに疫学的に重要な影響を与えた変異が37個あり、うち6個がスパイク遺伝子の変異だったという。原型といえる「S型」から「K型」、「G型」、「欧米G型」と変異を重ね、多くの型が派生して欧米で感染者を増やしていった。さらに世界に蔓延する過程で、中東由来の「Q型」や南半球で生まれた「N型」も派生している。


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