「最終カードとして期待していた緊急事態宣言がこれでは……。これ以上どう頑張ればいいのか」

 国際医療福祉大学医学部の和田耕治教授(公衆衛生学)はこう懸念する。

「1回目の緊急事態宣言と違って、学校に一斉休校を要請せず、イベントも開催される中で、市民には深刻な事態を軽くとらえる『正常性バイアス』に傾く人もいて、警戒感が伝わりづらくなっている。政府は感染状況が改善しないのなら、次の手を打っていかないと更なる危機になる」

 AERAは医師専用のコミュニティーサイトを運営するメドピアの協力のもと、現役の医師たちにコロナ禍での働き方の変化や収束の見通しについて緊急アンケートを実施。12月24日に開始し、1日のうちに1726人の回答を得た。

 新型コロナウイルスのワクチンについては、政府が2月下旬にも接種を開始できるよう準備を進めている。患者と接する可能性の高い医療従事者は優先的に接種が行われる見通しだが、医師たちに自身の接種の意向を聞いたところ、「接種する」が31.4%、「ワクチンの種類によっては接種する」が27.3%、「接種しない」と答えた人は11.8%いた。

 回答理由からは、「接種しない」を選んだ人はもちろん、接種に前向きな人たちも、国内で承認前のワクチンについて安全性への不安が払拭されていない状況が見て取れる。

「(接種は)必須かもしれないが、全く新しい構造のワクチンなので長期安全性についてはかなり不安」(都内・40代・男性勤務医)

「短期間で製造認可が下りているため、安全性については、実臨床できちんと情報をあげて、吟味する体制が必要」(神奈川県・60代・男性勤務医)

 日本感染症学会ワクチン委員会委員長の西順一郎・鹿児島大学教授も「安全性の情報がはっきりわからないと接種の判断は難しい」と話す。

「ワクチンなくして収束はあり得ないし、医療従事者として率先して打つ責任はあると考えているが、どんなワクチンか正しく周知する必要がある」

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