「食べる前に、糖質の吸収を遅らせるためにチョコを2枚食べましょう。そのあと、ゆっくりよく噛んで締めのラーメンやご飯を」(栗原医師)

 飲み終えたら、読書の前にまたチョコを1枚と緑茶だ。緑茶にはカフェインも入っているので、睡眠への影響も考え、ここは100ccでOKだ。

■それって「酒に失礼?」

 3晩続けて試してみた。栗原医師によると「ビールは1缶飲んだら、糖質を含まない焼酎やジンなどに変えるのが理想」とのことだったが、変化を見るためにいつも通りビール3缶で。他は忠実に守った。

 わずか3日の「実験」ではある。ただ、体はいつも通り酔っているのに、頭だけさえている不思議な感覚があった。本もいつもより読めた、気がする。効果のある方法だと思いたい。継続して試してみよう。よし、これで何とか光が見えてきたゾ。

 と、ここで原稿を終えるのが本当はいいのかもしれない。が、どうしても心に引っかかる言葉がある。「何か工夫できないですかね?」。取材でそうしつこく繰り返す私に、前出の中川さんはこう話してくれた。

「僕としては、読書のために何とか酔いを減らそうと考えることは、お酒に失礼な行為。そういう方法があっても、選択したくないですかね」

 中川さんにとって、お酒も読書もかけがえのないもの。どちらかをどちらかのために抑制するという発想はしない。自分なりに、それぞれの時間を最大限楽しみたい。そう言うのだ。

 これも刺さった。中川さんはチョコレート、試さないだろうな。うーむ、どうすべきか思案のしどころだ……って結局、今年も悩みの無限ループかよ。(編集部・小長光哲郎)

AERA 2021年1月11日号

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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